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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】3年間で売上規模を4倍にさせたノウハウとは。『時代を生き抜くリーダーに必要な「多動×巻き込み力」』

「関わるすべての人の人生を、『ワクワク』と『成長の渦』に巻き込む!」
これが本書執筆開始時点に於ける著者の唱えるミッションだそうだ。
そんな著者は、じっとしていられない「多動力」な人間で、加えて「失敗力」、田舎者コンプレックスによる「コンプ力」、それから「巻き込み力」を以て成長してきたのだと言う。
しかし、自身の経営するクリニックにも苦難が訪れた時もあった。スタッフとの亀裂、そして一斉退職と、クリニックは崩壊の危機を迎えたが、残ったスタッフと新たに迎えたメンバーによるチームでクリニックは立て直しに成功、更にはコロナ禍にもかかわらず二院目の開院にも辿り着いた。
本書は、現代のリーダーに必須のスキルに焦点を当てながら、成功の基盤である組織づくりについて、これ迄の経験を元に著者が思うところを著したものである。

2016年、世界経済フォーラムで、「時代はVUCAを極めている」と言われ、「すべての企業は、この脅威の対応策を迅速に実行すべし」と提言された。
「変動性(Volatility)」「不確実性「Uncertainly)」「複雑性(Complexity)」「曖昧性(Ambiguity)」を表したVUCAの時代に於いては、これまで重視されてきた「論理的思考」だけでは競争に勝つことは難しい。必要なのは、「変化や多様性に対する柔軟な対応力」「直観、感性を重視した右脳的思考」「膨大な情報の中に埋もれない、斬新な発想力」そしてなにより「スピード」だ。
かつての著者は、失敗するリスクを最大限に回避する人間だったと述懐する。負けず嫌いを理由とした、「勝てない勝負には挑まない」が信条だったのだと言う。そんな著者を変えたのは、著者よりずっとメンタルが強い妻だった。しごかれて、平気でチャレンジして平気で失敗する人間になってみると、失敗がこんなにも人を成長させるものなのだということに気付いた。
多動らしくDOを繰り返していくと、日常的に失敗を経験する。しかし、致命的な失敗などほとんど無い。そして失敗の経験を俯瞰してみると、原因もプロセスもよく分かる。DOやACTが洗練されてくる。
また、メンタルも強靭になってくる。こんな風に失敗をオープンに受け入れ、失敗から学びながらスピーディにビジネスを進める手法は、今やVUCAへの対応策として活用されていると言う。

「スモール・スタート」
プロジェクトを小さく始めることで、成功体験を積み重ねていく。
「フェイル・ファースト」
素早く実行して、失敗し、その失敗から学び、改善していく。
いずれも乗り越えられれば、また一つ次のステップに上がることができる。経験値を上げて前へと進んでいこう。

尚、本書の面白いところは、著者の元で働いてきたスタッフの面々が、著者不在の場で座談会を開いたものを収録しているところだ。
クリニックの運営や著者をサポートしてきた人々が、これまでを振り返って語っている訳だが、その言葉たちが著者の人柄や実行力などを量るに大いに貢献している。
即ち、彼等彼女等は本書の信憑性、並びに好感度向上までもサポートするのである。

ところで、冒頭で「本書執筆開始時点に於ける」と紹介した様に、その後ミッションにも変化があった。それはエピローグで披露されていて、まるでオチの様だ。
この多動な著者らしさ。本書を手にして是非お確かめください。

時代を生き抜くリーダーに必要な「多動×巻き込み力」
作者: 及川貴生
発売日:2022年12月21日
メディア:単行本