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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】絵本がもたらしてくれる”目覚めたまま見る夢”のなかで、子どもは確実に成長していく。『1日15分の読み聞かせが本当に頭のいい子を育てる』

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”植物はある日突然芽を出します。種を蒔いたことを忘れてしまうくらい、長い期間、土のなかで必要な水分と養分を吸収した種は、準備が整った瞬間、ひょっこりと芽を出します。そしてにょきにょきと生長を始めます。土のなかでじっとしている時間は、何も起きていないように見えて、大きなことが起きているのです。”

物語というのは、即効性がない。大人はいつも先が不安だから、つい焦ってしまい、子育てにおいてもすぐに役に立ちそうなものばかりを求めてしまう。早くから英語を学ばせようとしたり、とにかく読み書きができるようにと強制したり、学習ドリルなどたくさんの教材に手を伸ばしたりしがちである。

しかし本書の著者である齋藤孝氏は、なによりも絵本の読み聞かせの時間を作ってあげてほしいと語る。

強く勧めるのが、毎日15分の絵本の読み聞かせである。

子育てには「これをしておけば大丈夫」という明確な基準がないから、大人はいつも自信を持てなかったり、不安を抱えていたりする。そんな方に著者が明示してくれている基準が、

「読み聞かせ毎日15分」+「絵本100冊」
である。

100冊と聞いて「そんなに?」と驚くかもしれない。でも100冊はあくまで最低限のラインであり、理想をいえば200冊くらいはほしいのだという。

ある調査では家庭の蔵書数と子どもの学力は比例する、つまり本がたくさんある家庭の子どもほど学力が高いという結果が出ている。

そしてこの傾向は、絵本と子どもの心の育成についても同じことが言える。絵本がたくさん揃っていて、いつでも絵本の世界に手が届く環境が、子どもの想像力や創造力、好奇心を育んでいく。

絵本、それも繰り返して何度も読みたい絵本が100冊あるのは、子どもが没入して体験できる”ワールド”が家庭に100あるのと同じことなのである。

0歳から6歳ぐらいまでの間に100もの絵本への”心の世界旅行”を体験できれば、子どもの心のなかはとても豊かになっていく。そしてそれは子どもが成長していくなかで、自分を支えてくれる貴重な財産となる。

そうして毎日15分、親子で絵本を楽しむ時間を持てば、子どもの「心」はしっかりと育つ。変化の時代にも、しなやかに自分の力を発揮できる本当に頭のいい子が育つ。そして大人は自信を持つこと。その自信が子どもの土台をつくる。

この基準を満たしていれば、他にあれこれ心配せずとも大丈夫だと、著者は自信を持って勧めている。

評者も子どもの頃、母が絵本を読み聞かせてくれる時間が最高に好きだった。「絵本読んで」とあまりに言うので、母からうっとおしがられるくらい、毎晩読み聞かせをせがむ子どもだった。読んでいる母の方が先に寝落ちしてしまう、なんてこともしばしばだった。

そしてその時間はまさに夢のような、至福の時間として記憶に残っている。もちろん、だから自分は頭がいい、なんて言うつもりは全くない。評者の周りは自分より賢い人だらけだ。だけど読み聞かせって、子どもの成長や人格形成に一体どんな影響を及ぼすのだろう?と純粋に疑問に思い、本書を手に取った。

頭がよくなったかどうかはともかく、母に絵本を読み聞かせてもらったことは、とても大切な記憶として、しっかりと心に残っている。その頃の絵本の世界でのドキドキワクワクした感動は、今でも鮮明に思い出せる貴重な財産である。

そして本書を読んで、もう一度懐かしい絵本の世界に触れたくなった。本書の中でも、大人が読んでも考えさせられる、おもしろそうな絵本がたくさん紹介されていたので、片っ端から手に入れて読んでみようと思う。

 

1日15分の読み聞かせが本当に頭のいい子を育てる

1日15分の読み聞かせが本当に頭のいい子を育てる

  • 作者:齋藤孝
  • 発売日: 2020/06/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)