本書は、250冊以上の絵本を出版する著者による初のキャラクターコミックである。主人公は本書を読んでいる「自分自身」それぞれの状況での問いに対して想像しながらストーリーを読み進めていくスタイルはなかなか面白い。また、鉛筆で描かれた優しいタッチの絵からは安らぎを感じ、可愛いパンダがより際立つ。まさか著者が昔、暴走族の総長だったとは本書の雰囲気からは全く想像がつかない。
そんな著者が描く本書には、様々な教訓が組み込まれている。子どもの頃、本当にやりたかったことは何なのか?本書を読んだ人の子供心が引き出され、本当の自分がよみがえることを望み本書が作られたそうだ。なぜなら著者自身、世間や他人に合わせるたびに、自分が消えていくように感じると言う。
本が売れないこの時代に、著者は次々とヒット作を生み出す絵本作家として注目されていたが、実際にはネット上での度重なるバッシングにより、3年もの間、絵本が売れなくまた、企画も通らなくなった。しかし、絵本を描くことで誰かを喜ばせたい。絵本を描くことが自分の人生の全てだと考えていた著者は、批判の中でも毎日絵本を書き続けた。だが、それは想像を絶する苦悩の日々であり、年内には命を絶とうと考えていたそうだ。
そんなときにスタートしたClub houseで勇気を持って閉ざされた心を開いたことにより、多くの人々からの励ましの声を受け、絵本作家人生をかけたプロジェクトをスタートした。始まってまだ半年ほどのClub houseだが、利用者は圧倒的に激減したとも言われている。その一方で、著者のようにClub houseにより命が救われ、また新たな勇気が得られた人、世の中の状況により孤独から人の温かさ感じた人、人生の新たな楽しみだと感じている人などその影響は様々。Club houseは単なる音声アプリではなく、著者をはじめ多くの人々を救っているのだ。