HIU公式書評Blog

HIU公式書評ブログ

堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

MENU

【書評】どうせ人間なんて無意味な存在なんだから、神様に身を委ねてみれば?『人生に悩んだから「聖書」に相談してみた』

f:id:SyohyouBlog:20201028221508j:plain



人の脳は、放っておくと悪いことばかりを探し出す。つまり不幸になる。だから不平不満を募らせ、愚痴ばかり言っている人、不幸を嘆き続けている人というのは、幸せになる努力を怠っているということだ。彼らは考えているように見せかけて、実は何も考えていない。幸せとは権利でななく、義務なのである。

著者のMARO氏はクリスチャンである。しかし宗教って信仰していない人にとっては、ちょっと敬遠したくなる存在かもしれない。それも「神様」だとか言われると、「うげえ」と拒否反応を示したくなる気持ちは、とてもよくわかる。

だがこの本のコンセプトは「聖書で悩みを解決してみる」または「解決の糸口をつかんでみる」であり、「聖書について学ぶ」でもなければ「キリスト教を信じる」でもない。だからこの本を読んで「キリスト教に勧誘されちゃうんじゃないか」とか「洗脳されちゃうんじゃないか」といった心配はまったく無用である。

著者に言わせると、聖書とは神様が書いた「人間の取り扱い説明書」なんだとか。
だけど聖書って言葉が難解で、何を言っているのかよくわからないイメージがある。そんな私たちのために、著者はわかりやすい言葉に書き換えて聖書の言葉を教えてくれる。

本書の例をいくつかあげてみよう。

「主がよくしてくださったことを何一つ忘れるな」
気に入らない点を気にするよりも、気に入っている点をもっと押していったら?

「白髪は栄えの冠。それは正義の道に見出される。」
老いは神様から与えられる冠なんです。それを受け取らないのはもったいないです。

「あなたがたの間で偉くなりたいと思う者は、皆に仕える者になりなさい。あなたがたの間で先頭に立ちたいと思う者は、皆のしもべになりなさい。」
リーダーとして一番必要な資質は「人に仕えること」であり、リーダーの仕事とは仲間が最高のパフォーマンスを発揮するための環境を整えることだ。「召使い」に徹したときに、メンバーは心からあなたを尊敬し、あなたの望むパフォーマンスをしてくれるようになる。

「自分を知恵のある者と考えるな。主を恐れ、悪から遠ざかれ」
正義を実現したいなら「俺は正しい。だからお前らも正しくなれ」と自分の正しさを人に押し付けるのではなく、ただ自分が悪いことをしないように気をつけていなさい。人に「変われ」と言っても、無駄なことで、できることは自分が変わることだけです。

「信じない者ではなく、信じる者になりなさい」
相手に証拠を求めるということは「私はあなたの言葉を信用していません」と言っているようなものです。相手を信じること、これが人間関係の基本です。

「いつまでも残るのは信仰と希望と愛、これら三つです」
不安じゃなくて希望を持て。意識的に希望を持つようにする。人間の脳みそは放っておくと不安ばかり考えるんだから。

そしてその「希望」の根拠を神様に起きなさい、と教えているのが聖書である。

つまり「不安じゃなくて希望を持ちなさいよ!私がついてるんだから!」という神様からのメッセージが聖書なのだ。

そして聖書とは、「思いあがるなよ。お前だけの力なんてどうせ大したことないんだから。周りに頼りなさい。私に頼りなさい。肩の力を抜きなさい。」と言ってくれてるのかな、と評者は思った。だけど評者の場合ちょっと力を抜きすぎかもしれないから、気をつけよう。

評者は、とくに何かを信仰しているわけではない。しいて言えば、「アドラー心理学」が一番共感出来るところがあるなと思うくらいだった。けれど本書を読み、今まで堅苦しくて、どこか危ない印象だった宗教に非常に親近感をもてた。

宗教とは世界の教養、文化であり、これだけ多くのことを学べるものを見逃しているのはむしろ非常にもったいないと、今は感じる。だから入信する、というわけではないが、これからは偏見を持たずに宗教からも哲学からも人からも、いい部分を見つけ出して、いいとこ取りをしていこうと思う。

そしてそうやって探し出したいい部分は、よく見てみるとそれぞれに共通している考え方だったりするところも、また面白い。なんだか自分哲学が確立していってるみたいな感覚があって楽しい。改めて読書の楽しみがひとつ増えた気がする。

ちなみに、著者のtwitterアカウント「上馬キリスト教会」もとてもためになって面白いので是非フォローしてみてください。