本書では「絶対に真だと言える理想の何か」を追い求めた、哲学者達の戦いの歴史が解説されている。
真理の「真理」、国家の「真理」、神様の「真理」、存在の「真理」の全四ラウンドの激闘が観戦可能である。
評者一押しの哲学者はデカルトだ。
全てを疑い、最終的に疑う自分を疑った事で、疑う自分は確実に存在するという考えに至った。
疑う範囲をどんどん小さくしていき、点にまで研ぎ澄ました、正に求道者だ。
また、エピクロス派の「気持ちいいことをして、楽しく生きよう」という快楽主義が印象に残った。
快楽を貪るのではなく、日常に喜びを見つけようする思想は現代でも通用するはずだ。
著者は漫画『グラップラー刃牙』の大ファンだそうだ。
カバーにも板垣恵介氏による劉海王似のイラストが使用されている。
真理のために毒を飲む必要はないと懇願する弟子達に、ソクラテスはこう言ったかもしれない。
ワシを愚弄する気か!!