本書は、医師であり、経営コンサルタントの著者が、数多くの企業の社員や組織管理者の声を聞き、そこから得られた情報を経営学、医学、心理学の専門知識をもとに、組織の問題点を科学的に分析する。
多くの組織がかかえる人材の悩み。退職者が相次ぐ組織を例にあげ、ストレスに弱い社員が多い『砂の城系』、働きがいにより、業務負荷をごまかす『やりがい搾取系』、働きやすさを過度に追求する『ぬるま湯系』に分類し、その解説と対策がまとめられている。
さらに、社員の定着度と満足度を表す「パラダイス」「荒野」「ステップ」「ぶら下がり」という「組織活性4分類」により、自分が所属する組織が現在どのような状況にあるのかチェックできるのだ。
このようにして、対応すべき過大を明確にし、効率よく解決する。それが、本書の活用方法だそうだ。
評者の勤める企業は、トップが高齢ということや、行政にかかわる特殊な仕事という理由もあるのか、新しいことを取り入れることが難しく、人材も定着しない。
結果として少人数で運営する社会貢献性の高い事業であるため、『やりがい搾取系』に属すのだろう。
ここ最近でも、長期勤務していた経理の人たちが業務から外れたことにより、企業のとんでもない経営状況が発覚した。よくこのような状況で会社が成り立っていたのかと不思議に思う。
会社の先行きは不透明。改善策を模索中。これまで、それほど悩みやストレスもなく過ごしてきたが、今後は好きなこと、楽しいことも継続できるかわからない。しかし、できるうちは、思う存分楽しもうと思う。
また、考え方を変えれば時間もでき、新たなことを始める機会ともなるのだろうか。このような折に、本書と出会ったのも、何かの縁なのかもしれない。