ネット技術の発達により、個々人の活動やつながりが国という枠組みを越えて、世界中の様々な人と繋がることが可能となった。グローバル化による多大な恩恵を受ける一方で、グローバル化がもたらした負の側面があることを忘れてはならない。
グローバル化による過度な「自由化」を抑制、調整する役割を国家という「民主」が担う。つまり、「自由」という守るべき価値を、守る手段が「民主」であり相互関係で繋がっている。だが、GAFAの台頭など自由が巨大化したことで、民主が制御困難な状況となってきている。巨大化した自由は、格差社会や難民問題といった国際的課題に根を下ろす。
国家間での課題、地球規模での難題に立ち向かうために主権国家が求められること、すなわち自由と民主のバランスが重要であることを本書は強調した作品である。
本書を読んで、自由の拡大に伴い国家の担う役割が重くなってきていることがわかった。グローバル社会が急速に変化するため、対応が難しくなってきている。未来を考える上で自由に対する壮大な挑戦をすることを意味し、非常に興味深い。
本書で上げられる国際問題についても詳細に内容が綴られており、社会問題に興味がある人には読み応えのある、おすすめの作品である。是非手にとって読んでいただければと思う。