いまや、ドラマや俳優で活躍する織田裕二が半生を見つめ直し、自殺を考えた高校時代、俳優をやりながらの自分との葛藤を、同じ時代を生きる読者に向けて語られた書籍である。
織田は高校時代にカンニングがバレたことがある。先生が「お前さ、カンニングしただろ」織田は「はい」と、答えた。すると、その日のホームルームで先生は「織田は偉い、正直なヤツだ」これは褒められたと言っていいものかどうか判断はつきかねるが、自分自身大きく学んだ。
それは、いざというとき、人間は隠れてはいけない。何かミスをやらかしたとき、逃げてはいけない、ということ。やってしまったなら正直に認めるほうが、よっぽどマシだ。大切なことは、その後どうするか。落とし前の付け方だ。それが人間の評価基準になってくる。
1つの役で多くの人に受け入れられる。これは織田の理想でもあるが、弊害もある。『東京ラブストーリー』のカンチ、『振り返れば奴がいる』の司馬、『踊る大捜査線』の青島。こうした全く別々の役柄でしかも歌手活動も行い、自分のやりたいことと、やっていることの葛藤があり、その頃は「織田裕二」のベースを知って欲しいと必死であった。
人生のレールはひとつではない。道なき道を、ときには走って、ときには歩いて、とにかく前に向かっていく。それが「脱線者」。守らなければならないこと、捨ててはいけないことがあり、そして挑戦していく。織田裕二の生き様を垣間見れる書籍であった。