本書は人間関係をより良くするために、メンタリズムを利用しようという趣旨で書かれています。
人間関係で悩んでいる人がいるとしたら、それはその人が相手に対して「やってあげる人」、例を出すなら、売れないバンドマンの彼女などの「尽くす人」ではないでしょうか。
そういった場合、過分に何かをやってもらった人は「お返しをしなければいけない」というプレッシャーに耐えられなくなってしまい、罪悪感と良心の呵責に苛まれた結果、あなたを避けてしまいます。
これは、人間関係を良くしようと頑張るほど、人間関係が崩壊してしまうことを示唆します。
ここで重要なのが、「頑張るのをやめる」ことが、周りの人を幸せにするということになります。
それはどういうことか。
アドラー心理学では「人間が幸せになる唯一の方法は他者に貢献すること」と述べています。
年収と幸福度の関係では、ある一定の年収まで達すると幸福度は止まってしまうという報告があり、人間はお金で高まらなくなった幸福度を高める手段として、寄付や財団を作るなど、他人のために行動するようになります。
「誰かの役に立った」という精神的充足感や「自分は必要とされている」という自己重要感が人間を幸福にするのです。
これは、相手に何かをやってもらうという行為はめぐりめぐって「やってあげる側の人」を幸せにする行為につながっていきます。
誰かに頼られると嬉しい気持ちになりませんか?
また、相手に何かをしてあげることは、「相手に対して好意がある」と自分の脳に教える行為を意味します。川で溺れている女性を助けて恋に落ちるのは、助けてもらった側の人間ではなくて、助けてあげた側の人間であるという実験結果もあり、心理学的にも認められています。
お金の貸し借りでは、お金を貸す側の人間は「困っているので、お金を貸してください」と弱みをみせて頼んできた人間を好きになってしまうのです。
このことから、人間は他者への貢献によって幸せになる仕組みを持つ生き物と心理学的にも考えられます。
本書は心理学に基づく助けられるための具体的なテクニックとその根拠がしっかり記載されており、読まれた方もきっと納得していただけると思われます。
お願いすることは、お願いされた人を幸せにします。