HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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たくさんの小さな選択肢がある社会へ『なめらかなお金がめぐる社会。あるいは、なぜあなたは小さな経済圏で生きるべきなのか、ということ。』

 

例えば仕事における成果は、その仕事と人の“相性”に大きく影響されるのではないだろうかと最近は特に考えている。特定の分野に優れた人でも、それを活かすことができない仕事であればすぐに手詰まる、つまりは相性が悪ければ成果は限りなく小さくなるのだ。これは何も能力的相性だけではない。価値観的相性、身体的相性、知識的相性など、パーソナル属性と仕事の相性によって成果は変わる。
結果、先頭を走るエースが現れる一方、集団についていくことで精一杯どころか、ついていけずに離脱する人もいる。
彼らに対し「そんなことは分かっていたはずだ」「努力を怠っていたからそうなるんだ」と切り捨てることは容易い、しかしもう少し寛容な社会を作れないだろうかとも思う。


本書は自身と社会がうまく噛み合わない人、社会との相性が良くない人に選択肢を届けるための本だ。著者はクラウドファンディング、シェアハウス、ファイナンスの仕組みを利用し、相性の悪さによって未来の可能性が狭まらないよう、様々なサービスを立ち上げている。リバ邸の例がわかりやすい、現代の駆け込み寺をコンセプトにするこの場所には様々な背景を持った人が集まる。実体験を元にした見解だが、誤解を恐れず言えば、彼らは社会と噛み合わなかった人たちが多い。そんな彼らのような人は今後もさらに増えると思う、「大きいことはいいことだ」という現在の社会では、多様化した全ての人の幸せに応えることは難しくなっているのだ。


本書では経済圏を“大きな経済圏”と“小さな経済圏”に分類している。どちらも必要であり共存はできると思うが、現状は圧倒的に後者が足りないように思う。必要なのは選択肢だ、選びたいときにそれが選べる社会であってほしい。サービスを提供する側でも享受する側でも、どちら側でも構わない。市場は需要と供給の相乗効果で活性化するはずだ。本書を読むことで小さな経済圏を増やす仲間が増えれば、社会がより生きやすい場所に変わっていくのだと思う。