本書は「CAMPFIRE」「BASE」などのウェブサービスを作り出してきた家入一真氏による著書だ。
私は以前「CAMPFIRE」を通じてクラウドファンディングに協力したことがあるが、その体験は私にとって新しいお金の使い方だった。とある本屋さんのオープンに資金協力したのだが、自分のお金が新しいお店のオープンに使われるということ自体とてもワクワクした。オープンしてから行ってみて、お店の人と話すのもすごく楽しかった。そして友達に「最近こんなお店のクラウドファンディングに協力して、もうすぐオープンなんだよね」と話したくなった。
普通の買い物では得られたことのなかった喜びを、お金を払った後も何度も感じた。何か物を買うためにお金を払うのとは全然違う。自分のお金が素敵なことに使われるということがこんなにも嬉しいことだなんて知らなかった。こんなお金の使い方は初めてだった。
著者はこれ以外にも、もっとクローズドな間柄でお金のやりとりをするための「polca」など、新しいお金の使い方、そして人のつなげ方を提案するサービスをたくさん発信している。家入氏がどんな社会を思い描いてそのようなサービスを創っているのかこの本で知ることができる。
「なめらかなお金がめぐる社会」とタイトルにあるが、確かに私はまだ、なめらかなお金の使い方を知らなかった。貯めるだけでは意味がなく、お金は使うときに価値が出る。
お金を増やす方法や貯める方法を教えてくれる本はたくさんあるが、お金の使い方を教えてくれる本は少ない。お金を使って私たちはどうやって幸せになれるのか、ひとつの答えを教えてくれる一冊だ。
なめらかなお金がめぐる社会。あるいは、なぜあなたは小さな経済圏で生きるべきなのか、ということ。
- 作者: 家入一真
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2017/08/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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