最近、「マインドフルネス」という言葉をよく耳にする。マインドフルネスとは一言でいえば、「今、この瞬間」に意識を集中させること。日本語では、「瞑想」と呼ばれたりもする。
「瞑想」と聞くと、どうも怪しい、宗教っぽい、なんて思う方もいるかもしれない。しかしマインドフルネスの効果は科学的に実証されており、今ではグーグルをはじめとして多くの企業が研修として取り入れている。
本書では、マインドフルネスを日々取り入れやすい形に落とし込んだ「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」という、グーグルで熱狂的に支持されている研修プログラムのすべてがわかる。
グーグルのように飛躍的な結果が常に求められる場で働くことは、強いストレスにさらされることでもある。
しかしこのSIYを実践することで、自分を見つめる力、他者とよりよい関係を築く力が上がり、ビジネスにおける結果、そして自分の人生に対する満足度も上がっていく。
著者はグーグルのエンジニアで、実際にこの研修プログラムの開発に携わった人物。翻訳の文章は直訳に近いものがあり、日本語の文章としての自然さはなく、少し読みづらく感じるかもしれない。しかし、著者のエンジニアとしての性格が表れているかのようにとても論理的に書かれており、マインドフルネスの実践法から理論まで、一通りのことがわかり納得できる。
「ストレスでイライラする」「いつも忙しいと感じる」「集中力がなくなった」、そんなことを思っているビジネスマンが読めば必ず得るものがあるだろう。読み終わったときには、マインドフルネスを何かしらのかたちで生活に取り入れたくなっていることは間違いない。
もしもこの本を少し読みづらく感じたら、マインドフルネスについてより初心者向けに書かれたもの(例えば『世界のエリートがやっている 最高の休息法――「脳科学×瞑想」で集中力が高まる 』は読み物として読みやすくおすすめ)を読んだ後に、また手に取っていただきたい。
これからは日本人の働き方も変わってくる時代だ。年功序列・終身雇用はもはや保証されず、プロセスよりも結果重視。そんな環境において自分の力で人生を切り開いていきたい人にとって、マインドフルネスはまさに必須の武器だとこの本を読み強く感じた。

サーチ・インサイド・ユアセルフ――仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法
- 作者: チャディー・メン・タン,ダニエル・ゴールマン(序文),一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート,柴田裕之
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2016/05/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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世界のエリートがやっている 最高の休息法――「脳科学×瞑想」で集中力が高まる
- 作者: 久賀谷亮
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/07/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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