本書は、精神科医である著者の体験を踏まえて「罪悪感」という視点から、自分を責めずにはいられない人を分析し、「罪悪感」と向き合うことや自分を責めることをやめるための方法について書かれている。
失敗や困難なことなど、同じような体験をしても、何を感じるかは人それぞれ異なり、何もなかったかのように早く立ち直る人や、ひどい場合は、いつまでも自分自身を傷つけてしまう人もいる。
個人的なことになるが、私のように年齢を重ねると、寝てしまえば翌朝には、ほとんどのことは忘れてしまうのだが、そんな私でも若い頃は、一晩中眠れずに悩んだこともあった。一方、同じようなことを経験しても、まったく気にしていない友人もいた。そのとき私は彼の性格を羨ましく思ったものだが、なぜ、このような違いがあるのだろうか?
本書によると、このような違いは、「罪悪感」が強いか、弱いかが関係していて、「罪悪感」が強い人ほど、クヨクヨと考えて落ち込み、自分を責めるようになるのだそうだ。これは裏を返すと、「罪悪感」の真相が分かれば、それだけで落ち込むことがなくなり、生きるのが楽になるということにつながる。
この「罪悪感」がどのような形で表れるのかというと、”頭から離れない”、”いつも疑う”、”他人に気に入られたいという強い願望”などのような思いが繰り返されるときに、「罪悪感」が強くなってきているとしている。なので、「最近、そういえばそんな感じかも」という方は注意が必要だ。
本書は、前半では自分を責めずにいられない人の分析が中心となっており、後半では「自分はダメだ」と想ったときの対処法や、罪悪感との向き合い方、そして自分を責めるのをやめるための方法について解説されている。
今、自分を責めるのをやめられなくて悩んでいる方や、辛い思いをしている方、そこまででなくても、そのような気持ちになったときの対処法を知っておきたいという方は、ぜひ、本書を手にとって欲しい。