「おじいさんの趣味だ」、そんな既成概念を覆してくれました。この作品は盆栽がテーマです。
雨宮雨天が小日向楓の日常に入ってきたところから物語は始まります。好奇心をくすぐる盆栽にまつわる知識を中心にしながらも、物語を回すのは女子高生のライフスタイル。読み進めていくに連れ彼女たちの関係が深まり、盆栽の理解も深まるというユニークな構成になっています。
盆栽を通して触れる人の魅力、人を通して触れる盆栽の魅力、登場人物がそれらの気づきを得たときの素直な心理描写が素敵です。今まで無かったものを見つけたわけではなく、ずっと前からそこにあったものを、ふと認識するような表現で描かれています。きっと“気づく”ってそういうことなんでしょうね。
単行本第一巻では本編は計六話掲載されています。物語は劇的に変わることはなく、盆栽の知識も楓たちの関係も、一つ一つ積み重ねられていきます。女子高生と盆栽というミスマッチを通してほんの少し何かが変わることで日常は変化をしていくことを感じられる作品です。
今を変えたくて小さなきっかけを待っている人にお勧めの作品です。