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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】絵で考える?『ヴィジュアル・シンカーの脳 「絵」で考える人々の世界』

「絵や画像、映像で思考する」と聞いて、イメージできますか?
この本が面白い、と私に進めてくれた友人は視覚思考者(ヴィジュアル・シンカー)で、どうやら頭の中でTikTokのように映像が流れているらしい。

この本の中にある「思考タイプの判断テスト」で18問中4問しか当てはまらなかった私(恐らく言語思考が強い)にはまったく想像のできないことだったが、その友人も「画像が見えるのが当たり前だと思ってた」と、自分とは違う考え方に驚いたと話してくれた。

視覚思考と言語思考とははっきりと二分されるのではなく、グラデーションの中のどこかに当てはまる、というようなものらしい。また、視覚思考といっても大まかに2通りあって、具体的な画像で考える物体視覚思考と、パターンや抽象的な概念で考える空間視覚思考というものがあると著者は語っている。
自閉スペクトラム症でもある著者は物体視覚思考者で、自分がどのように思考しているかや、そしてfMRIが発達してからの脳の研究などを本書で説明してくれる。

また、現代社会は言語思考者に都合のいい仕組みになっていることを著者は懸念している。学校のテストも、特に代数は物体視覚思考者には理解が難しく、勉強についていけない。技術的なことに強みを見出すことが多い視覚思考者は学校のテストでは点数が取れず、能力が公平に評価されていないのではないか?と。

思考タイプが異なる組み合わせで、すばらしい芸術や事業が生まれた例もたくさん紹介している。(これに関しては個人的には思考タイプだけでなくたくさんの要素の相乗効果で成功しているのだろうと思うけど)

私は視覚思考者の考え方を真似することは決してできないが、自分とはまったく異なる思考方法を当然のようにする人々がいる、ということが大きな学びになった。視覚思考が強い人がテストで点数が取れなくてもそんなに落ち込む必要がないこともわかった。

社会全体、そして個人個人が、考え方、ものの見方の多様性があることを知り、いろんな可能性があることを認めることで、多くの人が自分らしく生きられる社会に一歩近づくのではないか、と感じている。