先日離婚を発表した国際政治学者で作家の三浦 瑠麗さんと、脳科学者の中野 信子さんの不倫についての対談本。2022年に新潮社から出ている。平易な話口調でずばずば語るのが小気味良く読み易い、大衆向けの作りだ。今年から、Kindle unlimitedの対象となっている。
中野さんは2018年に『不倫』(文春新書)を著し、不倫する遺伝子を持つ人間と、そうでない人間がいると科学の面から、不倫の自然発生を唱えている。人生100年時代に、子育てのパートナーと添い遂げることが脳科学的に修羅の道であることは自明だ。結婚したカップルの3組に1組は離婚し、残りの2組に1組は離婚予備軍と言われる。不倫のひとつやふたつ、たまのガス抜きにはあってもなんら当然ということだ。それをあまりに世間が不倫をバッシングすることについて、日本全体にとっては良い影響がないと、強靭な理性を持つ2人の才女は不服に思っている。
文系で情熱的な三浦さんと、理系で合理的な中野さんが異なるアプローチから論じる。三浦さんには経済力のある夫と一人娘がおり、中野さんはには子どもはおらず夫は経済力がある方ではないらしい。
文学、歴史、外国の実情など、2人の引き出しの多さと、深い共通知識には恐れ入る。離婚したばかり三浦さんの、結婚や不倫に対する価値観が読めるのも、野次馬根性で面白いかもしれない。
と、面白がっている自分の心に、問いかけてみて欲しい。なぜこんなにも人様の恋愛や結婚に興味をそそられてしまうのだろうか。