結婚という制度をビジネス視点から捉え、「奥さん」はリスクであると解き、世界の統計でみれば、婚外子の方がむしろグローバルなんだと気付かされる、目からウロコ的な1冊です。
いきなり冒頭から結婚と離婚に関わるお金の動きを、慰謝料、財産分与、婚姻費用、養育費の視点から分析し、その中でも最も熱が入って説明さらてるのがコンピ地獄という名の婚姻費用。
離婚係争が始まれば、基本的な2人の財産は折半の考えのもと、財産の差し押さえが法的に可能になります。本書では様々なケーススタディから係争を長引かす(ゴネまくる)ことで浮気などで一時的に支払われる慰謝料よりも継続的に支払われるコンピの方が得という身も蓋もない考え方がとても合理的で面白いです。
経済合理性からみた離婚係争をリスクとリターンの金融関係と捉え、現在の日本の少子化は結婚という金融商品の欠陥と位置付け、結婚して子供をつくる選択と、しなければ子供を作れない(社会的に容認しない)二社択一で中間選択肢がポッカリ空いてることが問題だとしてます。
つまり婚外子の普及です。
世界の婚外子率を見ると、日本と韓国が2%でアメリカ、カナダが30〜40%、ヨーロッパ諸国が約50%、1位はアイスランドの67%となり日本の婚外子率の低さが際立ってます。
本書の締めくくりは、結婚以外の男女交際と家族のありかたをパターン別に分けて交際や家庭の作り方には様々な形があるのがスタンダードだと説いてます。
大事なのは多くの日本人は家庭を作るためには結婚しかないという固定観念を捨てること。
自由な恋愛市場では、結婚制度は形骸化し婚外子が普通になる世のトレンドに、日本も乗っていくこととなる説明には納得感があります。
HIUメンバーにはこの本に書かれているような多様な価値観を持った人が比較的多い感じはしますし、そんな社会になっていくことが望ましいなぁと思える一冊です。
発売日:2017/02/14
著者:藤沢数希
新潮社