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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】SNS時代のマーケティング指南 - 『ウソはバレる』

皆さんこんにちは。イタマール・サイモンソンとエマニュエル・ローゼンによる著作「ウソはバレる」は、現代向きにソーシャルメディアマーケティングの指針を示しています。インターネットの普及による情報の透明性が高まり、消費者の製品やサービスに対する見方が根本的に変わった現代社会において、企業がいかにして消費者と向き合うべきかを説いています。

従来のマーケティング理論では、ブランドの構築や顧客との絆が成功の鍵とされてきました。しかし、この本ではそうした考え方が現代社会では通用しなくなっていると主張します。理由は、消費者が情報を自ら調べ、レビューや評価を共有することで、企業の言葉よりも第三者の意見を重視するようになったからです。

POM(過去の嗜好・経験、他者の情報、マーケターからの情報)フレームワーク

本書の中心となる考え方は、消費者の意思決定に影響を与える「POM(過去の嗜好・経験[P]、他者の情報[O]、マーケターからの情報[M])」フレームワークです。特に「他者の情報(O)」への依存度が高まっており、この変化はマーケティング戦略において重要な意味を持ちます。

ソーシャルメディアの役割

「ウソはバレる」によれば、ソーシャルメディアはマーケターからの情報提供のチャネル(M)としてではなく、消費者同士の情報共有の場(O)として活用することが推奨されます。これは、ソーシャルメディア上での消費者の声が製品やサービスの評価に大きく影響する現代のマーケティング環境を反映しています。

「ブランド論」との関連

以前紹介した「ブランド論」では、「ブランド・エクイティ」の要素の一つとして「ブランド連想」の価値が強調されていました。しかし、「ウソはバレる」で述べられるように、レビューサイトの登場によってその「ブランド連想」の価値が徐々に変化していることを考えると、現代のマーケティング戦略では、自社製品の「他者からの情報(O)」への依存度を理解し、POMのバランスを考慮して戦略を立てる必要があることがわかります。

「ウソはバレる」は、現代の情報溢れる社会において、消費者と企業がどのように関わり合うべきかを考えさせてくれる一冊です。従来のマーケティング理論に留まらず、変化する消費者の行動や情報の流れを理解し、それに適応することの重要性を教えてくれます。