ゲームにハマってしまう体験ってこうやって作られているのかと目からウロコ。
ついやってしまう体験を要素に分解して、1つ1つ丁寧にその背景となる心理的な状態やそれを乗り越えるための工夫等について解説。
伝説的なヒット作であるスーパーマリオやドラゴンクエストといった作品を通して、
第1章 ひとはなぜ「ついやってしまう」のか(直観のデザイン)では、画面のデザインから始まり、主人公や敵、その他のキャラクターのデザイン、役割や意味、などユーザーが説明なしに直観で分かる仕組み
第2章 ひとはなぜ「つい夢中になってしまう」のか(驚きのデザイン)では、直観のデザインの連続によって、もたらされる疲労や飽きを乗り越えるために、プレーヤーの感情を先回りして予測し、それを意図的にハズしたり、揺さぶる仕掛けや仕組みのつくりかた
第3章 ひとはなぜ「つい誰かに言いたくなってしまう」のか(物語のデザイン)では、直観や驚きのデザインにプラスして、ユーザーを物語(ナラティブ)に引き込み、主人公とプレーヤーを一体化させる(自分の物語)ために必要となる代表的な10個のモチーフや脳の働きを利用したナラティブのつくりかた等について解説されている。
終章 私たちを突き動かす「体験⇒感情⇒記憶」(体験デザインの正体)では、第1章から第3章までで解説されてきた体験デザインは、さまざまな職業、専門性をもつ人々が集い、協力しながら研究すべき研究領域であり、著者としては、この方法が、日々の様々な場面で活用される未来に想いを馳せている。
最後の実践編では、これまでの内容を振り返りつつ、実際のビジネスへの応用として、企画、ファシリテーション、プレゼンテーション、プロダクトデザイン、マネジメントなどでどのように活用できるかについて、具体的な問いかけや回答例を挙げながら説明されている。
著者は、元・任天堂の企画開発者である玉樹 真一郎氏。人がゲームにハマってしまう体験をデザイナーはどのように発想し、作り出しているのか。その裏側の思考法が体系的に整理され、イラストや図を用いて分かりやすく説明されている。このあたりの本のつくりかたからして、この本を通して伝えていることが実践されているところはさすが。
確かに思い返してみると、ゲームって誰かに強制されたり、説明されてはじめて遊び方が分かるというものではなく、なんとなく始めると、やり方を自然と理解し、能動的についついのめり込んでハマってしまっていた記憶がある。
この本で解説されている内容は、ゲームに限らず、アプリやプロダクト、サービスにおける企画・マーケティング・開発・デザイン・プロデュースなど多くのビジネス領域で応用できる方法であるため、多くのビジネスパーソンにとって学ぶべきことが詰まっており、ぜひともおススメしたい一冊です。