本書は1988年ブラジルで出版され、世界で3000万部を超えるベストセラー。
羊飼いの少年がアンダルシアからエジプトのピラミッドを目指して旅をする物語。
その途中に様々な出会いや経験がある。
本書の印象的な点として、夢を探求するための勇気を優しく説く言葉の数々。
これは単に夢追い人の旅物語ではない。
特に前半は人生においての教えと言っても過言ではないような言葉もいくつか出てくる。
その中でも私の頭に残った一説がこちら。
同じ友人といつも一緒にいると、友人が自分の人生の一部となってしまう。
すると、友人は彼を変えたいと思い始める。
そして、彼が自分たちの望み通りの人間にならないと、怒りだすのだ。
誰もみな、他人がどのような人生を送るべきか、明確な考えを持っているのに、自分の人生については、何も考えを持っていないようだった。
少年に対しての言葉が多いため、もしかすると若い方と年配の方では感じ方が異なるかもしれない。
後半の物語については、世代や宗教的な違いからか、少し私には分かりづらい世界観だったが、こちらもまた読む人の感性によるところが大きい気がする。
個人的には普段あまり小説を読むことはないが、本書に関しては物語を楽しむというより、少し哲学的な言葉を噛み締めながら楽しめた。
また少し時間を開けて読み直すことで、感じ方も違ってくるのかもしれない。
友人や家族にも読んでもらい、それぞれの考え方を語るのも、また楽しそうである。