3世紀頃の邪馬台国の時代を描いた第1部『火の鳥 黎明編』に続く本作第2部は、西暦3404年の超未来の世界だ。
火の鳥は一作毎に過去と未来を交互に描き、そして次第にその振り幅を狭めていって、最終話は現代へと辿り着くというのが手塚治虫の構想であったのだ。
太陽系は500年前から急速に滅びかかっていた。地球では、人々は荒地と化した地上を離れ、一切を地下へと持ち込んでいた。世界で五カ所の人類の最後の砦「永遠の都」は、メガロポリスとも呼ばれている。
メガロポリスの一つであるヤマトに住む主人公マサトは、地球外生物ムーピーを自室に隠し持っていた。ムーピーは不定形生物で、姿を変えることや、人間の脳細胞へ超音波を送って一種の夢を見せることができる。一時はペットとして可愛がられ繁殖したが、人間を堕落させ無気力化させると危険視した中央政府によって殺処分された。その生き残りであり女性の姿をしたムーピーを、マサトはタマミと呼び、愛していたのである。
ムーピーを殺せ。そう指示を受けたマサトはタマミを連れて逃亡する。一縷の望みを賭けて地上へと出た二人。
地上で世捨て人となり、助手ロボットのロビタと共に人造生物の研究を重ねていた猿田博士の前に火の鳥が現れた。
火の鳥はテレパシーで猿田博士に、自分は地球の分身である。そして地球は生き物なのだと呼びかける。
「死にかけている地球を治せるのはただ一人。もうすぐここへ来ます」
それはマサトだった。
メガロポリスで生活している無気力化した人類は、発達したテクノロジーに身を委ねていた。
偉大な母、地球の救い主、人類の総指揮者、ヤマトでは巨大電子頭脳ハレルヤが政策を含めた全てを統べていた。
ヤマトのハレルヤとメガロポリス・レングードの聖母機械ダニューバーとの間で諍いが起こった。互いに戦争を宣告し、即時に超水爆で両都市が跡形もなく消え去った。そして残りの各都市も同じく瞬間的に火の海と化した。五つのメガロポリスが消失し、人類は殆ど絶滅したのだった。
そこからの展開がものすごいことになる。
マサトの前に現れた火の鳥は、地球は死にかけており、その原因は人類にあると言う。進化の仕方をどこかで間違えた人類は一度無に返して、生み直さなければならない。そして、その役に選ばれたのがあなただと言い、火の鳥はマサトに永遠の命を授けるのである。
そこからマサトの孤独が始まる。その長さ30億年。西暦3404年どころではない。これを未来編と言わずしてなんと表わすのか。
その30億年の間に起こる出来事の数々は、とんでもない発想力の成せる業で、手塚治虫は並の漫画家ではないと、改めて感じるに十分な一作である。
で、読中読後には是非、特許取得のサプリメントを配合した、飲むサプリというオンリーワンで新感覚のお水『火の鳥 サプリメント in ウォーター編』をどうぞ。
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火の鳥 未来編
作者:手塚治虫
発売日:1992年12月10日
メディア:文庫本