本書評ブログは5周年を迎え、その間、最も多く読まれた書評は恋愛系だという。そのため、過去に紹介した『科学的に幸せになれる脳磨き』の著者夫妻の仲睦まじい姿を見ている人々から、どうしたら長期にわたり幸せに満ちたパートナーシップを築けるのかとの問いに答えた本書を紹介する。
脳科学者のイチロー氏は、アメリカでの研究者時代、いくら勉強しても英語がなかなか上達できなかったり、また、人に話しかけることが苦手で、44才まで恋愛経験がなかったそうだが、それはコミュニケーションの問題ではなく、自分自身が嫌いであるための心の障壁によるものだったそうだ。
過去の恋愛の心の痛みや子供の頃に自信を失うような体験をし、自分は愛されていない、認められていないといった自己嫌悪の気持ちが残り、自分が思うような行動が取れなくなったのだという。そのため、その原因となる憎しみや悲しみを解き放ち、自分を傷つけた相手を赦したことにより、心の痛みから解放され、真のパートナーシップを築けるようになったそうだ。
「クレアは、今まで出逢ったどの人とも違い、自分のことをわかってくれる気がする」と感じたイチロー氏。「イチローに話しかけられた時に何とも言えない心地よさを感じた」妻クレア氏。お互いに、他の人とは違う特別な存在だと感じたそうだ。そんな二人は、幸せはパートナーが持ってくるものではなく、自分の中にあり、パートナーが現在いても、いなくてもすでに自分は幸せで満たされており、パートナーがいればその幸せが自分を超えてさらに広がっていくという気持ちでいることが大切だと伝える。
とは言え、イチロー氏は今でも自分の恋愛経験の乏しさが恥ずかしいそうだが、そもそもなぜ気にするのだろうか。いわゆるモテる人は、単に表面的なことであり、その人自身に魅力があるとは限らない。むしろイチロー氏は、心が研ぎ澄まされていたからこそ、自分の直感を信じ、運命の人との出逢いを逃さず、長年大切にすることができている。それこそが最も重要であり、誰にでもできることではないのだ。
『科学的に幸せになれる脳磨き』
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