論者は保育施設と聞くとマニュアルなイメージを持っていた。どうやら昨今の保育施設は違うらしい。もちろんAIが代わることのできない職業上位に入る保育士をロボット化することではない。果たして保育にテクノロジーを使うとは?
保育にテクノロジーを活用するとは、端的に言うとITを駆使することで保育士が純粋に保育に関われる時間を確保するという取り組みのことである。こんなにも社会が変わり、子どもたちを取り巻く環境が変わってきている中で、保育施設はなんだか時代に取り残されている印象があった。保育士が手作業や事務作業に追われ、このことにより子どもたちと向き合う時間が少ないという現状がある。
保育施設はただ子どもを預ける場所ではない。保育施は子どもの社会性の成長の場でもある。この著書ではスマート保育園・幼稚園・子ども園の構想を目指すユニファ株式会社がテクノロジーを駆使して、保育士の質の向上、つまり保育所の質の向上を目指す取り組んだ例の数々が述べられている。保育士の日常業務を知っているだろうか?登園状況、家庭での出来事、イベントの計画、昼食の摂取状況、一日の過ごし方、すべてを確認し、記録し、家庭に伝えるのである。午睡の時ですら休みはない。これらをすべてIT化することによって、保育士の業務を減らし、保育士自身のゆとりを産みだすことにより、子どもの保育に集中して携わる時間を多く確保できるのだ。
ちなみに2021年にスマート保育園はグッドデザイン賞を受賞している。ICTを活用して人間にしか行えないことに集中できる場づくりを作り出すが環境が評価されているのだ。そう、保育所を選ぶ時代がすでにやってきたのである。人間が行うマニュアルとICTの行うオートマティックのハイブリッドが今後未来をどう作るのか楽しみである。