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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】正解のない世界だからこそ、モノづくりは面白い。『そこまでやるか、をつぎつぎと。』

 

「なんか、オレ向きそうな本なんじゃん?」と思い、本書を手にした。
興味を惹かれたこの書名の言葉は、著者が社長を務める株式会社川島製作所に於いて、2019年に新たに掲げられたブランドコンセプトだそうだ。
1912年(明治45年)に創業した川島製作所は、元々は製菓・製飴機械を扱っていたが、戦後は食品や薬剤等を包装する「包装機」メーカーへと転身し、以後100年に亘って業界をリードしてきたという。
著者は入社以後、技術部門や開発部門で包装機の開発に勤しんできたプロパー社員で、2016年に社長に就任した。
包装機といわれても、あまり我々には関係が無いと思ってしまうが、普段手にしている商品を思い浮かべれば、数々の物がなんらかのパッケージがされていることに気付く。実は、我々は直接的にではないが、頻繁に包装機が携わった物に触れているのだった。

著者が、本書を書いた理由は二つ。
一つは、モノづくりで世界を変えたい、ということ。
もう一つは、「仕事を通じて世界を変えたい、ワクワクしたい」と考えるアクティブな人材が集う企業にしたい、ということだそうだ。
さて、そう言う訳で、まず川島製作所の紹介と歴史。それから、著者が目指す会社や従業員マインドの造成のためにどうあるべきかを述べる。また、今後の100年を生き残るためには変化が必要という前提を以て、「包装機メーカー」から「包装メーカー」への成長を志向するのだった。
最後には、失敗を恐れず、可能性を追求する。それによって理想の未来が広がると、チャレンジすることについて強調している。
行動だけが世界を変えるのだ、と。

飾りの無い語り口、シンプルな意見や考え方に、叩き上げらしい人物と感じた。素直に共感を持てる一冊である。
従業員の豊かさを追及しながら、革新に挑むことを止むことなく追い続ける従業員のマインド作りに勤しんでいるという著者の言葉も、信じるに足るのである。


そこまでやるか、をつぎつぎと。
作者:伊早坂 嗣
発売日:2021年5月21日
メディア:単行本