今は当たり前のように生活していますが、大東亜戦争(第二次世界大戦)で多くの若者が命を捧げました。この小説はその若者の一人である、宮部久蔵の人生を追ったものです。この物語を通して、改めて生きることの尊さやありがたさを感じることができる一冊です。また、子供達に是非読ませたい本です。
アジア解放の目的で大東亜戦争を行うには、他国と対等以上にやり合う力が求められます。そのため、日本は実力をつけることが必要でした。そして、その実力を象徴する存在が、世界でも最も強力な戦闘機と言われた「零戦」でした。この本は、零戦に焦点を当てながら、若かりし零戦パイロットの宮部久蔵と孫の佐伯健太郎たちの姿を描いたものです。
「零戦」の名称由来は正式採用になった皇紀二六○○年の末尾のゼロをつけたのです。皇紀二六○○年は昭和十五年です。今は誰も皇紀など使う人はいませんが、神社で御朱印を頂くときに書かれることがあります。(ちなみに今年の令和五年は皇紀二六八三年です。)
佐伯健太郎が当時のこと、宮部久蔵について調べている時のセリフが印象的でした。
【祖父たちの青春には、自由に生を謳歌出来る時間も空気もなかったことはたしかだ】
この話は小説だけでなく、靖国神社の遊就館で命を捧げた若者たちの遺書をみて、現実がそうであったことを学びました。今の暮らしは当時に生を捧げた英霊たちによる賜物だと感じずにはいられません。
大東亜戦争では若者たちが勇敢に戦い、歴史の一部として永遠に刻まれています。その若者たちの勇気ある闘いと決断が、私たちの現在と未来に繋がる大切な礎となっています。是非、手に取って欲しい一冊です。
発行 2009/7/15
著者 百田 尚樹
出版社 講談社