非情になれず情にあふれた経営者は結果的に多くの従業員や取引先を悲劇的な状況に引きずり込む。逃げずに合理的な思考で問題と向き合う習慣の大切さを説いた一冊。
会社を立て直すためにどうしても辛い判断をしなくてはならない時がある。物の問題ではなく、人の生活がかかってくることもあるだろう。その時の多大なストレスから逃げて情に流された経営者を著者はたくさん見てきた。ダメな経営者は圧倒的に情に流される。経営判断はあくまでも合理的思考が伴っていなければならない。その合理的思考の経営判断を達成するために情緒的になることも時には必要だが、情緒的になることが目的になってはいけない。
常に与党の立場で考える。これは政権というわけではなく会社の中に関することでの意味合いだ。あなたがどんなポジションにいようと、批判や批評だけして行動にうつさない野党的な考えはすべきでない。常に自分事として自分が経営者ならどう判断するかなどシミュレーションしながら行動していく。その積み重ねが経営判断を行う時のストレスの耐性となる。
著者の冨山和彦氏は産業再生機構のCOOを経て、経営共創基盤(IGPI)を設立。これまで数多くの企業変革や業界再編に携わり、現在に至る。経営に関する著書も数多い。
しっかりと合理的思考を行い、本人が正しい改革案だと思っていても皆が賛同してくれることはほとんどない。そこで逃げて情に流されるのか、それとも「とにかく逃げない!」と決めて立ち向かうのか。小さな決め事だとしてもその習慣の違いが自分を作っていく。
「逃げずに向き合おう!」