今、当たり前のように行っている仕事は、本当に必要なものなのか?本書で紹介するのは「To Doリスト」ならぬ、やらないことを明確にする「To Stopリスト」だ。
例えば、定例会議や手作業での集計、資料作成等がそれにあたる。何かを新しく始めるときや、忙しすぎるとき、仕事が非効率なときがリスト作成のタイミングだ。
また、90年代から日本より5年進んでいると言われていたシリコンバレーで働いていた著者の経験から、アメリカと日本の違いについて取りあげている。
iPhoneをはじめとするアメリカの製品は、過剰に品質にこだわる日本の製品よりも洗練され、また遊び心があり、ダイナミックな発想があると言う。
それは、著者が仕事の期限に追われ、焦っていたときに、突如リゾート地に連れていかれてわかったそうだ。仕事だけを黙々と行うのではなく、忙しいときこそ場所を変え、遊び、楽しみ、リフレッシュすることにより、視野が広がり、思考が整理され、やるべきこと、やらなくていいことの区別ができ、ダイナミックなアイディアが出るそうだ。
評者が初めてアメリカへ訪れたときも著者と同じように感じた。そこは、中部の片田舎で日本人を珍しがるようなエリアであったが、それでも日本は東京でさえも何から何まで遅れていると感じた。
人々の考え方や生き方、楽しみ方、様々なシステムやサービス、製品、どれをとってもそうだ。日本が明らかに優れているのは、「食」と「紙製品」と「清潔さ」ぐらいだろうか。
まさにアメリカ人は、人生を楽しみ大人は子供以上に、はしゃぎ、それを日常的に上手く行っている人が多かった。そのような中で生まれる製品だからこそ、洗練され、遊び心があるのだろう。日本人でそのような生き方ができ、またそれを仕事にいかせている人はごくわずか。それが今の日本の状況を物語っているように感じるのだ。