本書は市場へ集荷された野菜や果物をスーパーや飲食業者へ販売する仲卸業者「八百森青果」に就職し主人公エリーが奮闘する姿を描いた漫画である。
入社前のエリーは、目の前で箱詰めされたスナップエンドウにフォークリフトが突っ込み、スナップエンドウが破損する事故に遭遇する。このままでは出荷できず廃棄されかねないスナップエンドウを、エリーの機転と仲卸関係者の尽力により救い出していく。
ネット販売等、個人取引が増加し市場経由率が低迷しつつある現状において、消費者と生産者の間に介在する仲卸はいらないと考える人も多いだろう。だが、本書を読めば、なぜ仲卸が存在するのかがわかるはずだ。普段当たり前にスーパーで野菜を買えるのは、彼らの力があってこそなのである。
農学部出身の評者から見ても、リアルな仲卸の現場が描写されていると感じられる一冊である。また、仲卸の現場だけではなくエリーがかつて在籍していた農学部や、取引先の小売り店舗での一幕も描かれている。農業関係者はもちろん、野菜や流通の知識を深めたい消費者にもおすすめしたい。