食べ物のありがたみと尊さがわかる絵本。人として生まれた以上、他の生物の命を奪い頂く行為、即ち食事は避けられない。それを放棄するということは自分で自分の命を奪うという行為である。本書は実際に屠畜場で働く者の葛藤が描かれている。ただ殺して、解体するだけではない。そこに込められた想いとは?
物語の主人公は食肉加工センターに勤める坂本氏。日々、屠殺場で命を奪う仕事を辞めたがっていた。しかし、息子の授業参観日の出来事から少しずつ心情が変わっていく、・・・。
本書の終わりには「いのちをいただく」というテーマに関連する職業である、漁師や農家の方に取材した話も収録されている。
読んでいて、ふと思い浮かんだのはヴィーガンである。一部で流行っているが、あれも結局は命を頂いている。だって野菜だって命があるわけで、動物だけに焦点を当てるのには疑問を感じる。無理に動物を食べろとは言わないが、食についての教養が本当に身につくのだろうか?