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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】やりがいと楽しさに唾を吐き、夢と希望は便所に流す『お前なんかもう死んでいる』

「ちょっとずつ給料が上がっていく計算して、ちょっとずつ階段を昇るような人生を歩いているヤツなんかいい気味だって思いますよね。」これは本書の“はじめに”の一文である。

猿岩石人気が終わり仕事は消え、7~8年月収は一桁、給料は0。家に引きこもりノイローゼになり川俣軍司寸前になる。ホームレスの下見も行って炊き出しの見学もした。自殺も願った。本書はそんな当時のことが鮮明にリアルに生々しく書いてある。

著者はよくテレビで他の芸人のことを「あなたはスタッフから嫌われています。」という言葉を使う。これを掘り下げると実は猿岩石時代に天狗になりスタッフから嫌われて仕事が無くなったという実体験に行き着く。実力もない若手芸人が周りから持ち上げられ天狗になり降ろされる。そこから8年間の地獄が始まる。

本書はとにかくリアルで、著者はとにかくシビア。“やりがい”、“楽しさ”などの言葉に唾を吐く。実力なんか信じておらず、努力も全否定する。すべては“運”であり流れに乗れたから今があるだけだと確信している。夢も希望も便所で流してきた。その裏には8年間の地獄の痛みがあり、その痛みが自分が間違った方向に行くと警報を鳴らす。

著者は自分が無力であること知っている。そして芸能界のルールも熟知している。無力な自分がどうやってこの世界を生きていくか。漫才の練習をするのも良いが、嫌いでも力のあるプロデューサーと人工的な笑顔で飲むこともまた一つの戦法である。

具体的かつ実践的な法則の数々を本書で。