本書はクリエイティブディレクター水野学氏の著書だ。くまモンを作った人と言えばわかりやすいだろうか。文字通り、センスは知識によって生まれるものと主張している。
一般的にはデザイナーなど、クリエイティブを生業にする人達はその仕事のアウトプットをセンスというものさしで評価されることが多い。ただしこの“センス”という尺度はとても曖昧で、個人によってものさしが異なる。この曖昧さがこじれ、センスの良い仕事をする人の能力が“神がかったひらめき”のように誤解されることが多い。この誤解を本書では丁寧に解き、誰もが身につけられる汎用的な能力であることを示し、その身につけ方も解説している。
知識と聞けばついつい膨大で網羅的な辞書のようなイメージをしてしまい、億劫になってしまいそうだが、実際はそうではない。本書では狭いセンス、つまりは特定の分野に限定された知識であっても武器にできるとしている。ビジネスにおいても小さな池の大きな魚になるという戦略があるが、まさにそれと同じことだろう。初めから大きな目標を掲げずに、まずは自身の好きなことの範囲でセンスを高めてみてはいかがだろうか。
ファッションや仕事のセンスが良い憧れの人がいるという方は、ぜひ本書を手に取ってほしい。その人に一歩近づく方法が本書には記されている。