プレゼンに関する本は数多くあるが、本書はプレゼンでチャンスをつかむための「心を動かす63種類の伝え方」がまとめられている。特に「企画がプレゼンで通らない人」「ボツになった人」「チャンスをつかむプレゼンを部下に教えたい人」へ向けて書かれた本である。
プレゼンとは、一般的に企業相手に会議室で行われものだと思われがちだが、実際には日常のいたるところで行われている。例えば「今日は何を食べに行くか」「どっちを買うか」「休みの日はどこに行くか」「就職の面接」さらに究極は「お付き合いしてください」というのもプレゼンであり、それはコミュニケーションの提案にあたる。
このように、日常はまさに小さなプレゼンの連続である。そのため、自分の仕事の内容に関係なく、すべての人にとってプレゼン力が必要なのだ。
著者は、元博報堂勤務でCMプランナーであった経験より数多くのプレゼンを経験してきたプレゼンのプロでもある。博報堂には、プレゼンを行う場合、社外向けにも、社内向けにも会議室やプロジェクトルームが準備されているそうだか、男性はトイレ、女性は給湯室がプレゼンの場になるという。
究極は立ち話もプレゼンであり、会議室以外の場所でのプレゼンのほうがより通りやすくなる。日々あらゆる場をプレゼンの場として意識していくことが、結果としてプレゼンの上達へとつながる。
このようにプレゼンとは、一般的に思われがちな企画が良ければ、またお金をかければ通るというわけではなく、日常の些細なコミュニケーションにも気をくばり、日々プレゼン力を身に付けていくということが非常に大事なのだ。
著者の本は数多く読んでいるが、真面目なビジネス書に加えた日常での例えがとても面白い。読み始めは、あまりにもかけ離れた例えのようにも思えるが、華々しい舞台だけが本番ではなく、日常での積み重ねが、自分自身をつくっていく。
また、各項目ごとにチャンスをつかむ人、逃す人のパターンが書かれているため、そこに注目していくとより理解しやすいように工夫された内容となっている。