普段の生活の中で、お目にかかる機会が少ないと思える職業である「数学者」。そんな数学者や数学に関わる方を中学生から名誉教授に至るまでインタビューした本である。
読み始めていくと、予想通り風変わりな性格や行動様式の人が出てきます。具体的には通勤電車のボックス席の窓側で通勤時間に研究をして研究室を書庫扱いする人、研究室にお酒の瓶・缶を飾る人、写経ではなく写数式?する人、動画配信をしながら数学教師をする人、独学でゼータ関数を学びだした中学生など非常に個性溢れる人たちのインタビューで構成されています。
しかしながら数学に対する情熱や考え方を聞くと、数学とは人生そのもの、人間は数学かもしれない、公式を覚えるのではく問いを立てる事が楽しい、難しい問題があれば細かく分解・色々試してみる・経験の蓄積であるなど、社会や人生で必要な生き方も学ぶことができる考え方だなあ。と感じます。
数学=価値観の違う人が共通の答えを導くために編み出した技法というのも表現も秀逸で、あのデカルトもこういう点に影響を受けたのだな。と思いました。
最後に私の読書歴で数学をテーマにした本としては、アンドリューワイルズを人生を描いた『フェルマーの最終定理』も面白いと思います。数学知識が無くても読めますので、この本と合わせて読んでみてください。
著者 :二宮 敦人
出版社:幻冬舎文庫
出版日:2021年4月8日