本書は幕末から明治、大正、昭和と生き抜いた起業家の著者が「人間とは論語で人格を磨く」、「算盤で資本主義で利益を追求」この2つを追求が大切と説いた書籍である。
人が世の中を渡っていくためには、成り行きを広く眺めつつ、気長にチャンスが来るのを待つということも忘れてはならない心がけである。不正を犯すもの、信じることを踏みつけにしようとする者とは争わなければならない。また気長にチャンスが来るのを待つ忍耐もなければならない。
それから不自由なのが当たり前だと思っていれば、足りないことなどない。心に欲望が芽生えたなら、自分が苦しんでいた時を思い出し、耐え忍ぶことだ。怒りは自分にとっての敵だと思わなければならない。
さらに追求するならば、商業道徳の要であり、国家においても、世界においても直接的に大きな影響のある「信用」の威力。商業に関わるすべての者に、「信用こそすべてのもと。わずか1つの信用も、その力はすべてに匹敵する」ということを理解させ、経済界の基盤を固めていくことこそ急いで取り組まなければならない。
また成功や失敗といった価値観から抜け出して、超然と自立し、正しい行為の道筋にそって行動し続けるなら、成功や失敗などとはレベルの違う、価値ある生涯を送ることができる。
ならば成功など、人として為すべきことを果たした結果生まれるカスにすぎない以上、気にする必要などまったくないのである。