ピクサーは最初から愛され、順調に成長し成功したのか?そう思っている人は、この本を読むことをお薦めする。
実際のピクサー成功の理由は、圧倒的な才能ある人、最高のクリエイティブ……だけではない対極にある「お金と戦略」だった。
世界にたくさんの夢を与えたピクサーが、与えるまでに立ち向かった苦難のストーリーでより勇気を与える本。
企業しビジネスで成功したい人、逆境を戦略で乗り越え成功したい人へのヒントも溢れているビジネス書。
ピクサーが成功する為の第1歩となった著者が話を受けるまでの葛藤と決断までの経緯が面白かった。
ジョブズにあってピクサーの話を聞くと言うと「なぜそんなことをするんだ?」と友人や会社の仲間に尋ねられたと言う。
話を聞いた後も、今にも倒れそうな会社の資金難やそれほどいいといえない勤務環境、仕事の負荷、失敗した場合のリスク等に不安を抱え続ける著者。
メンターに背中を押してもらい「なにか手が届きそうにないと思うものがあったとして、そこに向け、自分を信じて頑張るか信じられなければやめるかだと思えるようになった」と、思えるようになった著者。
ストーリーが動く時、成功するか嫌な体験になるかなど結末を知ることは出来ない。
それでも、誰かが何かを決めないと物語は進まない。ピクサー成功の背景に、彼がまず『アップル失脚やネクスト社の不穏』などいい状況じゃなかったジョブズの電話を受け、話を聞いた覚悟にあると思った。
成功を得る対価は、リスクを受ける覚悟があるか、不安でも気になる自分の心に従い行動するかなど求められると考えている私としては、彼の行動に納得ができた。
著者かTOPメンバーのエドやジョンと話し「彼らは商業的な成功がなくても勝つ、勝つ側の人間だ、いつどこでどのようにかわからないが。いつか、勝つ」と確信していた心情が面白かった。
そして、その確信がジョンの社員がみんな報われて欲しいと願う想いと結ばれると思うと嬉しかった。
「第4章ディズニーとの契約は悲惨だった」で書かれている、悲惨があまりにも悲惨だったので成功を掴めた事が奇跡のように思えたので後で紹介される戦略の数々を楽しむことができた。
中でも収益事業を見つける話は学ぶ事が多かった。
どの事業も収益をあげることが難しく、その中でディズニーとの契約は最悪で絶望的だった。
それでも、前向きに冷静に対応する姿に仕事へ取り組む姿勢について改めて学ぶ事ができた。
ジョブズも言い訳も反論もせず、著者と二人で学び二人で前を進もうとしてるという姿に微笑ましくなった。一方的でなく、自分のつけを担当者に押し付けお前の役割だろと能力の責務を追求せず受け止める姿が良かった。
ただそのお陰で、著者は泣きっ面に蜂といった窮地に立ちその心情に共感できる分ジョブズの判断のズレが笑えてくる。
ジョブズは前向きな判断と捉えたのか著者に「ピクサーに顔を出す」といい、ピクサー社員には「あいつを近づけるな」と言われている手前快諾できず、そんな中ディズニーから「制作オーダーダメ出し」による『トイ・ストーリー』の制作進行の遅延でてんやわんやする著者。
危惧していたボトルネック「ジョブズという不安要素」がここでも影響する。
それを『怪我による入院』といった一見不幸な出来事に見回れることで、ピクサー社への育ってきた愛や想いに気づき前向きになっていく著者の心の動きが面白かった。
そこから、問題にぶつかり壁を乗り越え望まれた形をどんどん具現化していき、エンターテイメントの会社として育てていく様はとても勉強なり感慨深かった。
企業家以外に、自身で発信するクリエイティブ制作に携わる人に読んで欲しい。
私自身、商業のwebプロデューサーを経て、現在エンタメコンテンツの制作に向き合っている。自身の作品が世の中に必要とされる確約がない中、それでもアウトプットしたい想いとメッセージや届けたい人がいて、それが人生をかける必要があるのか迷う。
さらに、コンテンツ制作は時間がかかる上に上記で述べたようにリターンが確実な物ではないので、何も得られないどころかマイナスを得る場合もある。
それでも大変な想いをして成功を納めたピクサーの裏の努力を知ると『コンテンツを作るということ』励まされ挑戦する自信に繋げられる。
さらに、作るだけじゃない現実的な評価やせいかつに活かすための気づきも得られる。
個人的には、株式上場にはあまり興味がない為、手法はあまりインプットデータとして参考にはならなかった。
金額や市場は規模というよりは、困難だと思っていた事をやり遂げた著者とそこに関わった全ての関係者のストーリーとしてとても良いメッセージが発信されていたと思う。
作品全体としては、「ヒットをしばらく打っていない」「ジョブズは終わった」そう人に陰口を叩かれ確証がなくても産み続け行動するジョブズの姿に勇気をもらえる。
人は、真意がわからなくても陰口を言うものだし、結果を出さなければ好き勝手に言う。
そんなことに負けずに、進んだからこそピクサーが産まれてくれた。ピクサー作品が大好きなので
数々の作品に出会えてよかったから、産まれて当たり前ではない背景を知ることができてより感謝と称賛が増した。
結末や評価は、蓋が閉まるときまでわからない。過程で、この発信は正しいのか、必要とされているのかなど迷う時もあっただろう。
けれど、諦めずに進み続けなければ見えないこともある。
光だけじゃない、暗闇の中、葛藤を乗り越え戦い続けた先に光があるという事を具体的に教えてくれる良い作品だった。
あと、全体的な戦略やアプローチ内容はもちろん、著者の課題に対する向き合い方やアウトプットの仕方など著者の冷静に成果をあげていく対応は学ぶ事が多かった。実践に活かしていこうと思う。
PIXAR <ピクサー> 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話
- 作者: ローレンス・レビー,井口耕二
- 出版社/メーカー: 文響社
- 発売日: 2019/03/15
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