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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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残念ながら日本はヤバい国『東大から刑務所へ』

本書は“元東大生且つ元服役者”という、貴重な体験をしている二人の対談だ。東大と刑務所という対極に位置する環境だが、本書を拝読すればこの二つは別世界のものではなく、地続きで繋がっていることがわかるだろう。

どのような場面においてもそうだが、満場一致の正義などは存在しない。正義か悪かは白と黒の二色で明確に別れている訳ではなく、灰色で繋がっている。灰色の中でどこまでが許せる範囲でどこからがそうではないのか、それはどのように決まるのか。この国では人の意志が介入する余地が非常に大きい。あなたの周りでも思い当たる節は少なくないのではないだろうか。公平な審判などはされず、人によって、人の作り出すムーブメントによって引かれる線の位置は変わる。著者二人の逮捕に対しての納得度の低さからも伺えるだろう。

残念ながら日本はヤバい国だ。自分の正義に基づき正しい行動をとっていても、他者の正義によって悪と認識されてしまえば人生は一瞬にして急転する。何かを生み出す力よりも、何かを潰す力の方が集合しやすい。個人においては他者の正義ほど厄介なものはない。元東大生という肩書きや、過去の実績は思うように信用として機能はしづらく、その時他者の正義によってどこに線が引かれるか、それが個人の未来を変えるのだ。

本書は物事に境界線は無いことを示唆している。境界線は誰かが決めるのだ。通常は自分自身で決めていくものだが、時として他者によって引かれる場合がある。あなたにとっての白は誰かにとっての黒になる可能性がある。人の判断などとても曖昧であることを本書は教えてくれるだろう。

 

 

東大から刑務所へ (幻冬舎新書)

東大から刑務所へ (幻冬舎新書)