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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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非モテコミットという名の性春『官能先生』

『官能先生』著作 吉田 基己(イブニングコミックス、2017/6/23)

 

文学における美しい男女の出会い方がある。夏祭りに行くと、浴衣を着た綺麗な女性とぶつかる。その女性の下駄の鼻緒が切れていて、男性は手拭いを口で破り、修理してあげるという出会い方だ。本作はそこから始まる性春ラブストーリーである。

小説家である主人公の六郎は夏祭りで出会った女性に恋をする。それも皆も体験したことがあろう非モテコミットだ。とりあえず非モテコミットについては専門書からの引用をしておく。

非モテコミットというのは、お前みたいな欲求不満な男が、ちょっと優しくしてくれた女を簡単に好きになり、もうこの女しかいないと思いつめて、その女のことばかり考え、その女に好かれようと必死にアプローチすることだ」(『ぼくは愛を証明しようと思う。』p50より)

六郎は少し手を触れただけの女性のことが好きになってしまい。出会ったその夜はその女性との小説を書き始めてしまうほどの拗らしっぷり。

そして、もちろんというかその女性とばったり再会をする。女性は喫茶店で働いていた。女性の出勤時間を毎日待ち伏せ、毎日喫茶店に通い、24時間その女性に非モテコミットし、よるはその女性の妄想、そして官能小説までをも書く。

夏祭りでただ手が触れただけなのに「言葉のない触れ合い それはもうセックスじゃないのかなァ」「僕達あの夜セックスしたんだよ⁉︎」と六郎。

好きで好きでしょうがない。だからこその欲まみれ。そんな六郎の性春を是非多くの人に見守っていただきたい。次巻が非常に楽しみだ。