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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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リアルさが怖い『嗤う名医』 著者 久坂部 羊(集英社、2014/2/26)

本書には2009年から2013年にかけて、「小説すばる」に掲載された著者の短編小説6作品が収録されている。

そしてこれらの作品には、すべてに医者が登場する。もちろん医者はすべて架空の人物だが、この本、読んでいる途中で何度も「もしかしたら実話じゃないの?」と思ってしまうほどリアルさが伝わってくる。

なぜこんなに実話だと思わせるような作品ばかりなのか?というと、実は著者自身が医者なのである。

だから手術の場面はもちろんのこと、業界の内部事情や患者とのやり取りの場面がとてもリアルなのだ。今回はそういった作品の中から、少しくらいの症状なら病院に行くのを我慢しようかな・・・と思ってしまった「名医の微笑」を紹介したい。

この本に収録されているそれぞれの作品は、ブラックユーモア的な面白さがあるのだが、この「名医の微笑」はさらにエログロがプラスされている。

だからそういった話が苦手なら、この作品だけは読まないで飛ばしたほうがよい。

中でも、特異な性癖を持つ医師の矢崎が通う会員制クラブの場面。そこで行われているショーやその後の個室での行為がヤバい。

もともと矢崎の日常生活は我慢だらけの生活だ。患者に対しても、家族に対しても我慢。実際にそういう医者も多いのではないだろうか。

それがきっかけなのかは分からないが、矢崎自身は勃たないようになってしまっている。それが会員制クラブの個室である行為に目覚めてしまい、勃つようになるのだ。

しかしである、本当に申し訳ないのだが、紹介すると言っておきながら、ここに書くことを躊躇してしまうような表現が多い。だからここは実際に、本書を手に取ってみてほしい。

そんな作品を読んだからなのか、ふと私のかかりつけの医者の顔が頭に浮かんだ。彼もそういう趣味だったらどうしようかと。

いやいや、他人の趣味がどうだろうと良いだろう。迷惑をかけているわけでもあるまいし。

でも・・・少しくらいの風邪なら行くのを控えようか。

といったわけで、本書は最初にも書いたように、それぞれの作品のモデルが実在していて、ほんとは実話じゃないの?と思ってしまうほど、リアルな作品が楽しめる一冊だ。医療小説が好きな方はもちろん、ブラックユーモア的な作品が好きな方もおすすめである。

 

 

嗤う名医 (集英社文庫)

嗤う名医 (集英社文庫)

 
嗤う名医

嗤う名医