本書のテーマは“販売技術”だ。ネットショッピングが当たり前になっている昨今、消費者に商品を届けるという役割はまだまだ店頭販売員が担うところが大きい。いや、店頭かeコマースかはただの手段の違いだ。本書の本質は、どのような販売手段に対しても当てはまる。
本書の持つ説得力は、実験に基づいている。著者は販売員という仕事を始めた当初、全く成果に繋がらなかった。そこで著者は実験と称し、PDCAを回し始める。500回の実験のうち、350回は失敗に終わったが、150回は成功と呼べた。この実験結果が本書に集約されている。
実験結果から得られた成功事例を、汎用性を高めた上で紹介している本書だが、本質はこの“実験”そのものにあると考えられる。各法則を説明する際に実験結果も記述されており、エビデンスである以上数値で示されている。「生産性の向上」や「質の高い活動」と業務上よく聞くものの、指標が曖昧になっているケースが少なくない。失敗を恐れず、その指標で妥当かどうかを判断することを含め実験が必要だ。
販売技術が学べることはもちろん、PDCAの基本も学べる一冊だ。