HIU公式書評Blog

HIU公式書評ブログ

堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

MENU

【書評】人生は売り込みだ!『なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか?』

 

タイトルにもなっている、この質問に対する著者の答えはシンプルである。答えは「ビジネスで最も大切な営業という仕事は、教えることができないから」である。

理由は営業に対する指示の与え方、励まし方、顧客との接し方、ニーズの組み方などは現場で試行錯誤しながら積み重なるものであり、座学で教えることができないからである。よって営業には答えがない=営業の本質に対して書かれた本はないである。

この前提に立ち、著者は世界各地のエース級の営業マンにヒアリングを重ねながら営業を学んでいく構成となっていて、こういった事例を見ながら自分の経験と照らし合わせても面白いと思います。

私が感銘を受けた事例を挙げると
①優秀な営業マンは共通して「断られることがデフォルト」というマインドセットを持っていて、そこから立ち直る自分なりの方法を持っている。

②営業という仕事は、資格もいらず誰でもできるという理由で不当に低く見られている面があるが、本来は優れた人がいちばん稼ぐことができる職業である。よって誰にもチャンスがある世界というのは、とんでもなく厳しい世界でもある。まさに、営業は生きることそのもの、人生の縮図であり自分の思いを相手に伝えて相手の心を動かして行動を起こしてもらうこと」※なお著書のアメリカ版のタイトルは『人生は売り込みだ』である。

③優秀なセールスマンの特徴を五つ挙げている。あり余る元気と気楽さ。断られてもめげない自信。金への執着。自制心と勤勉さ。そして拒絶や障害を挑戦として受け入れる姿勢である。

④営業は紹介に尽きる。よい思考と行動を繰り返すことで、優れた習慣が身に付く。何かをやると決めたら、すぐにやること。ほとんどの習慣は、若いうちに身に付くもので、30歳を超すと何かを変えようとする意志と能力が著しく弱まるという。

⑤ゼロからイチをつくり上げた経験があれば、いつでもどこでも、もう一度できると自信を持てる。

⑥あまたのビジネススクールや本で教えるべきことは「ビジネスでもっとも大切な営業という仕事については教えることができない」という事実であり、そういう仕事をしている人間は会社の宝であり、そういう人間をリスペクトすること」である。

営業への概念が180度変わる面白い本だと思います。ぜひ読んでみてください。

発売日:2013/8/30
著者:フィリップ・デルヴス・ブロートン (著), 岩瀬大輔 (その他), 関美和 (翻訳)
出版社:プレジデント社

なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか?

【書評】ひとり起業の針路を変える?!『ひとり広報の戦略書』

 昨今の起業ブームに乗っかったはいいが、ちょっと待て。効果的な売り方、営業をしているか?広報戦略はどう考えているか?

 ひとり起業は、夢は大きくとも、実際問題日常の集客と時間管理という2大課題るから、いってみれば広報への力は本業に費やす時間・力と分散してしまうのが常だからだ。しかし本書は、ひとり起業・ひとり社長に対し、広報という切り口からのアプローチで悩みの集客や時間管理への処方箋ともなっている。

 ひとりでも、いやひとりだからこそ広報する必要性、それは見込み顧客との接触回数を多くすることや、既存顧客へも現状認知をしてもらうことのにつながることなどが本書では繰り返されている。では具体論はとなると、話題作りのための8つの小ネタアイデア、例えば〇周年記念・新発売・季節に応じた広報など。また量は質を凌駕するため、兎に角週に一回、月に一回など頻度を決めて発信することの有効性が示されている。
 
 時間がない、への処方箋としては、スキマ時間にいかにインプットをするか。著者自らのひとり広報実践のためのインプット材料が惜しげもなく公開されている。VoicyやYouTubeなどの音声をながら聞きで時間を2倍作り出すことは勿論だ。

 また、知識よりも重要なマインドの節がなかなか良い。ひとり社長は自ら決定権者なので、組織として判断が早く小回りが効くというのは最大の利点だ。しかしながら、いざマインドの強さに翳りがでたり迷いが生じると、その特徴は諸刃の剣、すぐさま鈍さに現れるのだ。そんなときに本書は『広報という仮面をかぶる』と言っている。自らを仮面で別人と見立て、マインドに左右されない広報を実行していくのだ。

 ひとり広報を戦略的に。これはひとり起業の行く針路を変えるものとなるだろう。

著者︰小野 茜
発行所︰クロスメディア・パブリッシング
発行日︰2022年11月18日

ひとり広報の戦略書ーー認知と人気を全国レベルにする「知ってもらえる」すごい方法

【書評】数字はただの数字ではない。『問題解決の最初の一歩 データ分析の教室』

 

 数字はただの数字ではない。すべての数字に意味がある。
 パン屋さんの再生ストーリー仕立てで展開される本著。数字にエクセルを使い意味を見出し、ビジネスに活かす。使い方の教科書本は苦手だけど、エクセルをもっと使いこなしたい方。楽しく読みながらエクセル上級者になれること間違いなし。
 エクセルの使い方についての本ではあるが、再生ストーリーに伴って書かれているためか、少しも押しつけがましくない。ピボットテーブル、VLOOKUP関数、相関係数、回帰分析とエクセルを使用したデータ分析の意味や使い方について書かれているも、ストーリーの流れが会話で構成されているためか気が付いたら使い方が身につく感じである。
 データを多角的、立体的に分析することによって、短期的ではなく長期的な経営改善ができる。例えば、一つの新商品を作ったとする。ここでの経営改善とは、新商品の売り上げをアップすると同時に店全体の売り上げをアップする必要があることを意味する。そのため、新商品の売り上げをアップさせると同時に、どのような値段の商品をどのような客が購入する傾向にあるのか、というような分析をすることによって客層と売れる商品の傾向を理解することができる。
 目の前にあるどの数字をどのように分析するかは何を目的にデータを分析するかによる。データ分析の目標が明らかになったらあとは実績を繰り返していくだけである。読み終わりの感想はエクセル教科書と侮っていた、であった。エクセルの使い方は一朝一夕で身につくものではないと思う。時々確認しながら何度も読み学びたい本著である

問題解決の最初の一歩 データ分析の教室

【書評】伝説のYouTuberが送るコミュ力ある雑談の仕方『知的な雑談力の磨き方』

 

 『大人の学び直しTV』で大人気の「すあし社長」のYouTubeの内容を一冊にまとめた本著。ビジネス以外の話で盛り上がれていたらビジネスの場面でもうまくことが進むんじゃないか?と思ったことないだろうか?本著の50のヒントを実践してみてはどうだろうか?

 人たらしな人に出会ったことがある。その方はどうしてこんなに魅力的なのだろうかと思い観察してみた。そこで気づいたことは、とにかく会話のテンポである。話せば話すほど、こちらが楽しくなるのである。おしゃべりなわけではない。バランスよく、自分の話、相手の話をうまく混ぜ込んで、楽しい会話を成立させるのだ。基本的に人は他人に話を聞いてもらったらうれしいものである。他人が楽しそうに話しているのを聞くことが楽しい人も中にはいる。ただし、自分の興味のない話を永遠に聞かされて長時間楽しめる人は皆無である。
 このような状況を避けむしろ会話を弾ませるためには、とにかく相手中心の会話をすることだそう。最初に相手が何に興味があるのか会話で確認し、その相手の興味を刺激し相手に話させるような会話を続けるのである。自分の地域を相手に伝える一方では相手はおもしろくないのだ。
最初は、今日あの人は楽しめたかな?という後悔を抱えてよいと思う。まずはトレーニングし、自分なりのコツをつかんでいく。本に書かれた50のヒントのうち一つ実践できるようになったら、次のヒントへ、また次のヒントへ。自分ができるヒントの数を一つずつ増やしていけばよい。気が付けば雑談が楽しくなるはずである。

 会話は相手がいるからこそできるもの。自分の会話時間は相手にとっても同じ会話時間。だからこそ相手を大切にした会話を行う。

知的な雑談力の磨き方

【書評】武士の時代は本当にあった『武士の娘』

 

 明治初期、家老の家に生まれ、厳格に育てられた著者の自伝。
 当時の生活や考え方が生々しく描かれている。著者は結婚で渡ったアメリカで初めて目にする文化や思想を受け入れながら自立していくが、著者の支えとなったのはいつも「武士の娘」を忘れない精神だった。

 今の時代にはありえないような厳しい教育がいくつかのエピソードでよくわかる。
 例えば、師匠の講義中には微動だにも許されず、ある時著者はなぜか落ち着かないために膝をちょっと緩めた。すると「そんな気持ちでは勉強はできません。お部屋にひきとってお考えになられたほうがよいと存じます。」と師匠が言ったので、痛い心持ちで自室へ戻ったという。またある冬の日は、火のない部屋で習字の稽古をしたが、手が紫色に変わるくらい凍えていたという。

 現代に当てはめることは到底無理だが、当時は身も心も厳しくひきしめることで「心を制御する」ことを学んでいると理解されていた。だがそれだけで一般的に成り立っていたわけではないと思う。師匠と生徒あるいは親と子供が互いに礼儀作法をわきまえていたからこそではないか。

 そんな武士の家での精神教育が少しずつ古風なものになっていく大変革の時でもあった。武士は金銭に関わらないことを教えられていたので、急に商売を始めてもうまくいかない。古い(といわれた)考えに固執する者も多かった。西洋から入ってきた牛肉を食す文化を恐れる人もいた。そんな中、著者はアメリカで、古い考えを大切にしつつ、新しいものは丁寧に理解し受け入れられたからこそ、精神的にもバランスよく自立して過ごせたのだろう。

「武士の娘」は1925年にアメリカで出版され、世界7カ国に翻訳された。日本で出版されたのはそれから15年後。著者は執筆の他に、コロンビア大学で日本語や日本文化などを教えた。
 著者の父は越後戦争で敗北した長岡藩の筆頭家老だった。昨年の映画「峠」で話題になった河井継之助と同時期に藩政に関わっていたが、新政府との非戦を訴え逃亡し、苦労して帰藩している。私の祖父母が長岡市在住だったため以前より河井継之助のことは知っていたが、その影にこのような武士がいたことを本書で初めて知った。他にも多数の物語があっただろう。

 本書には著者の母や祖母がよく登場する。彼女たちは江戸時代生まれの武士の娘。今の時代からは窮屈な生活にしか見えないが、彼女たちが自分の宿命を誇りにし覚悟して日々過ごしている姿には、心打たれるものがある。それは明治になっても変わらない姿勢だった。「1人の人間」としての生き様を見せられているかのようであった。最後まで自立した精神で生き抜いた著者は、身近な家族から最も強く学んでいたのではなかろうか。

『武士の娘』
著者:杉本鉞子
発売日:1994年1月24日
発行所:筑摩書房

武士の娘 (ちくま文庫)

【書評】ゼロにリセットされるためのマイナスの世界。『刑務所なう。ホリエモンの獄中日記195日』

 

本書は、著者が2011年6月に収監された時点がスタートとなっている。
初めは東京拘置所、やがて長野刑務所へ異動となりながら、著者は獄中から手紙というアナログ手段を用いてスタッフへ日記を送り、なんとメルマガを発信し続けていた。そして、その型破りな記録を元に書籍化したのが本書だ。
一週間で一区切り。間には「時事ネタ時評」とスタッフの談話的なものを挟む。さらには時たま実録マンガも差し込まれており、巻末には、書籍、漫画、映画などに関する大量の書評も添えられている。

一時、時の人となっていたホリエモンが逮捕され、刑務所からほぼリアルタイムで日記を送ってくる。それ自体がユニークである。それが出版当時の印象であり、面白味だったのだろう。
それからざっと十年間を経た現在に於いて初めて読んでみたのだが、流石に「過去のこと」として捉えてしまう。なので、先述した様なリアルタイムの醍醐味を感じることはない。
また、受刑者には手紙を出すのにも枚数も回数も制限がある訳だが、その為に要点を抑えた簡便な記述が主だったものなので、刑務所内での出来事の詳細を知るまでにはいかない。
加えて、律儀にもというか、毎日の朝、昼、晩の飯の献立を書いているので、日記の内容は八割方が食に関するものなんじゃなかろうか。

しかし、そんな日記の日々を繰っていくと、段々と著者が変化していくのが分かる。
酒を絶った生活のおかげか、どんどんと減っていく体重。甘い物が苦手だったのが、ぜんざいやきな粉ご飯を待ち侘びる様になっていく。苦手だった納豆までもとうとう完食に至る。

また、生活態度にも変化が生じた。
収監当初の精神的に不安定な時期、他の受刑者たちとの人間関係のストレス、やがて幸せの閾値が下がっていき、遂には刑務所の中での生活が日常と化す。
そして、これまでは理解出来なかった、能力の劣る人達、出来ない者達のことを解す様にもなっていた。
1年9ヶ月に及ぶ刑務所生活は、著者に数々の新たなものを与えたのであった。

本書は、『刑務所なう。シーズン2 前歯が抜けたぜぇ。ワイルドだろぉ?の巻』が続巻として出版され、さらには、『刑務所わず。塀の中では言えないホントの話』が、出所後に出版されている。
『わず』は、『なう』に於いては検閲の為に書けなかった受刑者達の具体的な模様、刑期中に起きた出来事などの、2013年3月27日の仮釈放を経ても尚触れ得ぬものであった事柄等を、11月10日の刑期満了を迎え、晴れて書き表したものである。
どうせなら、三冊通して読むことを薦めるものである。

刑務所なう。ホリエモンの獄中日記195日
作者: 堀江 貴文
発売日:2012年5月20日
メディア:Kindle

刑務所なう。 ホリエモンの獄中日記195日 (文春e-book)

【書評】自分の仕事から恋愛や夫婦関係にも使える!学び好きには必読の書!『THINK AGAIN  発想を変える、思い込みを手放す』

 

この本は、アメリカの有名な大学の組織心理学者が書いた本だ。多くの人が如何に再考をせず、自分の思い込みに囚われているかを、研究結果と具体例をもとに紹介されている。

例えば、一流の交渉人と平均的な交渉人ではどのような違いがあるのか、だ。あなたが「交渉」「討論」と聞くと、どのような印象を持つだろうか?多くの場合、データを揃え、論理武装して、相手の意見を聞かない。しかし、一流の交渉人はその逆をしている。データは1個か2個で、事前に合意枠を決めてメモしている。極めつけは、「発言のうち5回に1回は質問している」という点だ。僕たちのイメージを具体例と、データでひっくりかえしてくるのが、この本の醍醐味。僕も、質問は非常に大切にしており、口論になった際によく使っている。議論の落とし所が見つかり、余計なストレスをかかえなくて済む。

他にも、能力が低い人ほど自分の能力に自信を持っている、という現象についても触れている。「ダニング=クルーガー効果」とも呼ばれている。言い換えると「弱い犬ほどよく吠える」現象だ。何が面白いかと言うと、この現象、何と政治の世界でも現れるのだ。著書では、大統領選挙を具体例として挙げている。判断力が最も問われる職業でさえも、この現象からは逃げられないのだ。もちろん、和らげる方法もあり、この本では紹介されている。僕自身、読書を通じて、自分の能力や知識の限界さを痛感している。しかし、この限界を認識することで、思考力を高められるのだと僕は思っている。

この本は、恋愛関係や夫婦関係に悩んでいる人や、好奇心が高く学び好きな人にオススメだ。学生にも有益だろう。
著者であるアダム・グラントは、ペンシルベニア大学ウォートン校の教授である。専門は組織心理学だが、32歳という若さで教授になったと言うから驚きだ(一般的に教授の平均年齢は57.6歳)。他の著書に『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』がある。

この本は、自分がいかに思い込みに囚われているか、を文字通り「再考」させられる本だ。この書評では書き切れないほど面白い。ぜひ、ご一読頂きたい。

アダム・グラント(2021) 『THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す』楠木建(監訳) 三笠書房

発売:2022年

THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す【特別試し読み版】

【書評】自分の仕事から恋愛や夫婦関係にも使える!学び好きには必読の書!『THINK AGAIN  発想を変える、思い込みを手放す』

 

この本は、アメリカの有名な大学の組織心理学者が書いた本だ。多くの人が如何に再考をせず、自分の思い込みに囚われているかを、研究結果と具体例をもとに紹介されている。

例えば、一流の交渉人と平均的な交渉人ではどのような違いがあるのか、だ。あなたが「交渉」「討論」と聞くと、どのような印象を持つだろうか?多くの場合、データを揃え、論理武装して、相手の意見を聞かない。しかし、一流の交渉人はその逆をしている。データは1個か2個で、事前に合意枠を決めてメモしている。極めつけは、「発言のうち5回に1回は質問している」という点だ。僕たちのイメージを具体例と、データでひっくりかえしてくるのが、この本の醍醐味。僕も、質問は非常に大切にしており、口論になった際によく使っている。議論の落とし所が見つかり、余計なストレスをかかえなくて済む。

他にも、能力が低い人ほど自分の能力に自信を持っている、という現象についても触れている。「ダニング=クルーガー効果」とも呼ばれている。言い換えると「弱い犬ほどよく吠える」現象だ。何が面白いかと言うと、この現象、何と政治の世界でも現れるのだ。著書では、大統領選挙を具体例として挙げている。判断力が最も問われる職業でさえも、この現象からは逃げられないのだ。もちろん、和らげる方法もあり、この本では紹介されている。僕自身、読書を通じて、自分の能力や知識の限界さを痛感している。しかし、この限界を認識することで、思考力を高められるのだと僕は思っている。

この本は、恋愛関係や夫婦関係に悩んでいる人や、好奇心が高く学び好きな人にオススメだ。学生にも有益だろう。
著者であるアダム・グラントは、ペンシルベニア大学ウォートン校の教授である。専門は組織心理学だが、32歳という若さで教授になったと言うから驚きだ(一般的に教授の平均年齢は57.6歳)。他の著書に『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』がある。

この本は、自分がいかに思い込みに囚われているか、を文字通り「再考」させられる本だ。この書評では書き切れないほど面白い。ぜひ、ご一読頂きたい。

アダム・グラント(2021) 『THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す』楠木建(監訳) 三笠書房

発売:2022年

THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す【特別試し読み版】

【書評】場をつくること。『うまくいくリーダーだけが知っていること』

 

10代で起業し、チームビルディング・コラボレートを通じて、様々な事業の立ち上げや不動産投資、株式投資、部下の事業の立ち上げのサポートに携わってきたのが著者である。
本書は、チームビルディング・コラボレートについて解説するものだが、読んで欲しい層は以下の通り。
・リーダーになりたい人
・信頼できるチームをつくりたい人
・会社の人間関係で悩んでいる人
・業績を伸ばすことが出来ないことに苦慮している人
・将来に希望が持てない人

うまくいくリーダーが知っていることとは? リーダーとして努めるべきこととは何か?
著者は、優秀なリーダーを育てる為に大事なことは、場をつくることだと言う。
それは、組織に於いてリーダが育つ為の仕組みと文化をつくることだ。
個人で関わってリーダーを育てようとしても、少人数にしか出来ないが、多くのリーダーを輩出しようとするのであれば、自分一人で育てるのではなく、場で育てるのである。
仕組みをつくって、それを流していく。その流れを文化にしていく。
文化をつくっていく上で重要なことは、大事なことを飽きずに、繰り返し伝えていくことだ。
指示や指導を受ける側も、繰り返しを拒むことは自らの成長を阻む行為と気付くべきだ。
「出来るまでやる」
「繰り返すことで成功する」
ごく当たり前のことを分からない人は、成長するどころか脱落していく。
上司が繰り返しを求めるということは、自分が出来る様になるまで付き合ってくれている、出来ると思われていると考えることだ。
繰り返してやることを受け入れるかどうかで、その人の人生は大きく変わる。そして、そのことを、場の力で気付ける様にしていくのも、リーダーとしての大きな仕事なのである。

変化の激しい世の中に於いてでも、なお変わらないものがコミュニティだと著者は考える。
如何にして良質なコミュニティをつくり上げていくのか。
著者が、チームビルディング・コラボレートに携わってきた経験を元にしているどけに、そのチームづくり理論には、実感がこもっている様に思えた。

うまくいくリーダーだけが知っていること
作者: 嶋村 吉洋
発売日:2022年12月20日
メディア:単行本

うまくいくリーダーだけが知っていること

【書評】現状から抜け出したい人へ『「エンジニア×スタートアップ」こそ、最高のキャリアである』

 

本書は、著者の体験を基に、エンジニアとスタートアップの魅力やカルチャーなどを熱く語ったビジネス書だ。

根底にあるのは「自分がやりたいことをやる」ということ。
普通の型にはまった会社員ではつまらないと、自分が楽しく熱中できる仕事を追い求め、次々に仕事を変えていく。
仕事を変えるたびに、もっと楽しそうな世界が見えてくる。
そして行き着いた先が、エンジニアであり、スタートアップ企業だった。
そこで培った知識、経験と魅力を存分に語っている。
本書序盤は小説のように読みやすく、著者の追体験ができるだろう。

エンジニアとスタートアップ企業について、丁寧に解説されている。
エンジニアは技術だけでなく、ビジネスモデルを読み解く力のほうがより重要となる。
また、分業化された大手企業と、個の力の影響が大きいスタートアップの違いについても面白い。
ビジネスの教養として知っておきたい内容だ。

エンジニアxスタートアップ企業は、高収入で自由な働き方が実現できる、まさに夢のような環境だと語っている。
当然仕事で結果を出し続けることが前提となるため楽な環境ではないが、著者のような情熱とアグレッシブさを持つ人にとって、これほど良い環境はないだろう。

本書はエンジニアとスタートアップについて書かれたものだ。
だがそれらとは無縁でも、現状の仕事から抜け出したいと悩んでいるなら、本書が力強く背中を押してくれるに違いない。