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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】自分の仕事から恋愛や夫婦関係にも使える!学び好きには必読の書!『THINK AGAIN  発想を変える、思い込みを手放す』

 

この本は、アメリカの有名な大学の組織心理学者が書いた本だ。多くの人が如何に再考をせず、自分の思い込みに囚われているかを、研究結果と具体例をもとに紹介されている。

例えば、一流の交渉人と平均的な交渉人ではどのような違いがあるのか、だ。あなたが「交渉」「討論」と聞くと、どのような印象を持つだろうか?多くの場合、データを揃え、論理武装して、相手の意見を聞かない。しかし、一流の交渉人はその逆をしている。データは1個か2個で、事前に合意枠を決めてメモしている。極めつけは、「発言のうち5回に1回は質問している」という点だ。僕たちのイメージを具体例と、データでひっくりかえしてくるのが、この本の醍醐味。僕も、質問は非常に大切にしており、口論になった際によく使っている。議論の落とし所が見つかり、余計なストレスをかかえなくて済む。

他にも、能力が低い人ほど自分の能力に自信を持っている、という現象についても触れている。「ダニング=クルーガー効果」とも呼ばれている。言い換えると「弱い犬ほどよく吠える」現象だ。何が面白いかと言うと、この現象、何と政治の世界でも現れるのだ。著書では、大統領選挙を具体例として挙げている。判断力が最も問われる職業でさえも、この現象からは逃げられないのだ。もちろん、和らげる方法もあり、この本では紹介されている。僕自身、読書を通じて、自分の能力や知識の限界さを痛感している。しかし、この限界を認識することで、思考力を高められるのだと僕は思っている。

この本は、恋愛関係や夫婦関係に悩んでいる人や、好奇心が高く学び好きな人にオススメだ。学生にも有益だろう。
著者であるアダム・グラントは、ペンシルベニア大学ウォートン校の教授である。専門は組織心理学だが、32歳という若さで教授になったと言うから驚きだ(一般的に教授の平均年齢は57.6歳)。他の著書に『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』がある。

この本は、自分がいかに思い込みに囚われているか、を文字通り「再考」させられる本だ。この書評では書き切れないほど面白い。ぜひ、ご一読頂きたい。

アダム・グラント(2021) 『THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す』楠木建(監訳) 三笠書房

発売:2022年

THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す【特別試し読み版】