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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】『ずるい考え方 ゼロから始めるラテラルシンキング入門』

 

皆さんは、ラテラルシンキングという思考法をご存知ですか?
ラテラルシンキングとは、一言で言うと「どんな前提条件にも支配されない自由な思考法」です。ロジカルシンキングが、垂直思考と呼ばれるのに対し、この思考法は水平思考と呼ばれています。

と、文面上で書いただけでは抽象的で、少し分かりにくいと思うので、ここでは例として、一つクイズを交えながら説明をしていきたいと思います。それでは出題です。

あなたは夕飯の買い出しのために、近所のスーパーにやってきました。そこであなたはオレンジの特売が行われているのを目にします。その値段の法外さに驚いたあなたは、お土産にでも買って帰ろうと思い、そのオレンジを二山購入しました。
家に帰り、3人の子どもにお土産を買ってきたことを伝えると、彼らはとても喜びました。
早速あなたは、子どもたちにオレンジを分けてあげようと考えます。しかし、いざ数えてみると、オレンジの合計が全部で13個であることにあなたは気が付きます。これでは、あまりが出てしまい、喧嘩になるなと思ったあなたは、13個のオレンジを3人の子供に均等に分ける方法を考えなければならなくなりました。

さて、ここで問題です。
13個のオレンジを3人の子供に対して均等に分けるには、どうすればいいでしょう?

一度目を閉じて、ゆっくりと考えてみてください。

いかがでしょう?回答は思いつきましたか?

それでは答え合わせです。

あくまで予想ですが、皆さんはこのような答えを導いたのではないでしょうか。

・4個ずつ分け、余った一つを3等分する

・図りを使って重量を計算する

・1つは自分が食べ、余った分を子どもたちに分けさせる

どうでしょうか?このような回答をした方が、大半なのではないでしょうか?
実は、これらの回答はすべて「ロジカルシンキング」的な考え方を元に導き出された回答、ということが出来るんです。

また、これ以外にも、論理を「A→B→C」というように積み上げながら導き出された回答はすべて、ロジカルシンキング的な考えを元に導き出された回答と言えます。例えば、一番上に記載した回答を例に考えると「均等に分けたい」→「個数を均等にすればいい」→「一つだけあまりが出る」→「余った一つは3等分にすればいい」、といった具合です。

では、ラジカルシンキング的に考えると、どのような回答を導き出すことができるのか。
その解答例を上げていくと、

・ジュースにして、その後に均等に分ける

・余ったオレンジの種を土に埋め、たくさん実ってから同数ずつ分ける

などのようになります。

上記の2つの回答に共通しているのは、思い込みに囚われない自由な思考によって導き出された回答である、という点です。これこそがまさに、ラテラルシンキングという思考法の、真髄であると言えます。
例えば、1つ目の回答は、「現物で分けなければいけない」という思い込みを取り払って考えることができる人でないと、導き出すことはできないですし、2つ目の回答も、「その場で分けなければいけない」という思い込みを取り払って考えることができる人でないと、導き出すことはできない、といった感じです。

纏めると、ロジカルシンキングは、「A→B→C」のように、筋道を立てて論理的に回答を導き出す思考法であり、それに対してラテラルシンキングは、思い込み等の既成の枠組みに囚われない、自由な思考法であると言えます。

一段一段階段を上がって目的階を目指すのが、ロジカルシンキング。エレベーターを使って一気に目的階を目指すのがラテラルシンキング、というと分かりやすいかもしれませんね。

また、誤解のないように、最後に書いておきたいことがあります。それは、ラテラルシンキングとロジカルシンキングは決して対立する考え方ではないということです。更に言えば、問題を解決するときに、どちらかを選択しなければならない、という訳でもありません。今までの説明を聞いて、ラテラルシンキングが出来ればロジカルシンキングが必要ないのではないかと、そういう風に思った方もいらっしゃると思いますが、残念ながら、それは大きな間違いです。

確かに、ラテラルシンキングを使って物事を多角的な視点から分析すると、ロジカルシンキングを使う場合よりも、多くの選択肢を得ることができます。

しかし、ラテラルシンキングを用いる場合でも、その選択肢一つ一つが現実に実現可能なものであるかという点に関しては、ロジカルシンキングを使って考察していく必要があるのです。
つまり、何か問題を解決する際に、ロジカルシンキングを採用するにしても、ラテラルシンキングを採用するにしても、思いついたアイデアを実行するまでの間には、どちらにせよ、ロジカルシンキング的な視点で物事を考えなければならない段階が存在するということです。

ロジカルシンキングを使う場合
ロジカルシンキングを用いて、解決策を模索する→実践する

ラテラルシンキングを使う場合
ラテラルシンキングを用いて、解決策を模索する→そのアイデアが現実的に実現可能であるかという点について、ロジカルシンキングを用いて考察していく→実践する

と、まとめるとこんな感じです。

ここまで、ちょっとしたクイズを交えながら、ラテラルシンキングとはなんぞや、ということを掘り下げて説明してみたわけですが、なんとなく、ラテラルシンキングがどのような思考法なのか、皆さん理解することが出来ましたか?出来たという方は、素晴らしい理解力を持っている方なのだと思います。僕のような語彙力貧弱人間の説明で理解できたのですから、あなたは自分の理解力に自信を持っていいと思います。いや、ホントに。
また、残念ながら出来なかった、と言う人も、全然落ち込む必要はありません。そういう方は、是非ともこの「ずるい考え方」という本を読んでみてください。僕なんかよりも何倍も上手に、著者はこの本の中でラテラルシンキングとはなんぞや、ということを説明してくれます。

因みに言うと、僕は最近ラテラルシンキング的な考え方を出来るようになるための練習として、ランニングの際にお題を一つ決め、その物の用途を30個思いつくまで走り続けるということをしています。これがまた中々難しくて、かつ面白いのです。(これは、書籍の中に記載されていたラテラルシンキング的な考え方が出来るようになるためのトレーニング方法です)

一つの物の用途を30個絞り出すとなると、これはかなり難儀なのですが、物事を多角的な視点で自由に思考するトレーニングとしてはかなりの効果があるのではないかと、実際にやっていて感じます。脳の内、普段使っていない領域を使っているな、という感触もあるのですが、不思議なものでこれをやると、脳は疲れるどころか却ってスッキリするんですよね。思考領域が広がる分、脳内の情報が整理されやすくなるためかもしれません。上手く言えませんが、何とも不思議な感覚ですよ。
折角なので、これからも少なくとも飽きるまではこのトレーニングを継続していきたいなと、そう思っています。

皆さんも、この書評を読んで、ラテラルシンキングについて興味が出てきた、なんてことがあった時には、是非とも今回紹介した「ずるい考え方」を読んでみてください。そうして自分の生活に、少しでもラテラルシンキングを取り入れる努力をしてみてください。ラテラルシンキングは、常識に囚われがちな私達日本人にこそ、必要な思考法だ。僕はこの本を読んで、そのように感じました。