HIU公式書評Blog

HIU公式書評ブログ

堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

MENU

【書評】コロナ禍に輝きを増す資格!!『「キャリアコンサルタント」で自立する方法 国も推奨!今、最も注目の国家資格』

 

「キャリアコンサルタント」。徐々に認知され始めてきたがまだ耳馴染みのない言葉。実は昨今のコロナ禍を受け、今後飛躍的に活躍できる可能性が高いブルーオーシャンな国家資格なのである。「キャリアコンサルタント」という言葉を初めて聞いた人にも分かりやすく、それでいて実際に資格取得後も働き方の教科書として親切に導いてくれる一冊となっている。

 評者自身あまりどこかで聞いたことがある気はしても、あまり耳慣れないものだった「キャリアコンサルタント」という言葉。もちろん国家資格で国が推し進めていることなど全く知らなかった。そんな評者が初めて読んでも理解できるように構成されており、この資格が気になる!取ってみたい!と思わせる内容となっている。そしてこの本のすごい所はそれだけではない。実際に資格を取った後の具体的な仕事の進め方や立ち回りが親切に書いてあるのだ。起業や税金関係に必要な書類の画像や、SNSや各種サービスを利用した集客方法などまで書いてある。

 国は「キャリアコンサルタント10万人養成計画」を掲げ2024年までに2020年現在で5万人いる資格取得者を10万人に倍増させることを目指しているそうだ。しかしそれでも市場の需要に対して、全く供給が追いついていないのだと著者は言っている。試験の合格率は50%前後と決して簡単に取得できる資格とは言えないが、これからを見据え取得を目指してみてもいいのではないだろうかと思えた。

 著者はリーマン・ショックでの自身の失業を契機にこの仕事と出会って資格取得を志し、まだ民間資格であった時から合わせて9年間、ダブルワークとしてキャリアコンサルタントの業務を行っているそうだ。今世間は新型コロナウィルス感染症によって、働き方は空前の大変革の時を迎えている。評者自身今後の働き方や仕事について悩み、考えない日はない。そんな時、この「キャリアコンサルタント」というものはとても心強い存在だと感じた。仕事について真剣に考えている人はぜひ一度この本を手に取ってほしい。

 この本は真剣に「キャリアコンサルタント」という資格を広めたい著者の熱い思いが伝わってくる一冊となっている。本の中にも書いてある言葉だが、キャリアコンサルタントは仕事で悩んだ相談者の「最後の砦」としての役割を担っているという。本書にはキャリアコンサルタントの具体的な業務などは書かれていない。しかしこの資格が広く世間に認知されることで、リーマン・ショックで多くの失業者が出たときと同様に、昨今の新型コロナウィルス感染症によって仕事悩む人たちが減り、笑顔で働ける人たちが増えるのではないかと思う。

 

 

【書評】働き方はたくさんあるからね!『未来の働き方を考えよう』

 

この作品の著書ちきりんさんに、今私はハマりまくっている。そこらへんに落ちている常識を全力で否定しまくる。それは、ただの否定ではなく、熟考に熟考を重ねた結果の結論。私たちがどう働いていけば幸せになれるかの彼女なりの結論だ。

全体的には、「大企業」を全否定(しているように見える)。もっと言うと、「大企業はただの選択肢の一つ。勝ち組と思ったら大間違いだよ。」会社に依存するのではなく、稼ぐ力をつけることの重要性を訴える。

そして、「定年まで同じ会社、同じ仕事をしなくてもいい」と言う。途中で休憩してもいいし、仕事を変えたっていい。本書で強調するのは、「働く人生が2つあると思って働いてみよう」ということ。

とても気が楽になるし、人生が楽しくなる。そして前向きになる。私はまじめに頑張ってきた仕事を辞め、1年間好きなことをし続けた。そして、次は週休3日でゆるく働こうと思っている。その先もやりたいこと、楽しいことがあればどんどん気にせずやっていく。

「人生は楽しむためにある」こんな気持ちにさせてくれるとても良い本でした。働くことに苦しんでいる方にぜひ読んでほしいです。

 

 

水の音を楽しみながら水を飲もう!『丁寧道~ストレスから自由になれる最高メソッド』


 書道家武田双雲の著書である。丁寧と聞いて何を思い浮かべるだろうか?この著書における丁寧とは自分に起こっていることを丁寧に感じるということだ。物事を肯定的に捉え、楽しむことによって、結果的に自分の気が自動的に上がっていくと言う。お金もかけずにハピーになれるなんて、おもしろいメカニズムではないだろうか。
 著者は丁寧の例として千利休が作り上げた茶道をあげている。ここで、考えてみよう。茶葉を急須に入れてお湯を注げばお茶は飲めるのだ。敢えて利休は茶を飲むために様々な所作と過程を作り、茶を飲むという行動のプロセスに間や空間を発生させることによって人が何かを感じる時間、空間、雰囲気を足したのだ。人間とは不思議なもので、生活に彩を与えることによって幸福感を得て、幸福を感じるほど人生が豊になっていくのだ。
 負のオーラとか負のエネルギーについて相対性理論を持ち出しているのもおもしろい。人間が存在(重力)している限りその個体からエネルギーを発生しており、そのエネルギーが負であれば負のものが近寄ってくるという解説である。なんとなくわかる(笑)。ネガティブなことを考えているとどんどんと負のスパイラルに巻き込まれていくことがある。逆もしかりで、ラッキーな時はとことんラッキーが訪れる。どっちの人生が欲しいか?と問われたら、幸せだろう。
 試しにコップに水が注がれる「こぽこぽ」という音を聴いてみた。なんだかかわいらしかった。それだけで楽しくなる。人生そんなもんだ。シンプルで大切なことをこの著書から教わった。

 

 

【書評】人間は矛盾してよい!『まんがでわかる 正義中毒 人はなぜ他人を許せないのか?』


 論者はネットニュースのコメント欄をよく読んでいる。そのコメントは、日本人にしてははっきりとした意見が書かれている。否定的なコメントしかりだ。なぜ自分が関わっていないネットニュースにこんなにも辛辣なコメントを残せるのか疑問だったのだが、人間が「許せない」と思う生き物だからだという回答をこの著書を通じて得た。どうせなら許せない気持ちなんて無くして気ままに人生を謳歌しませんか?
 この漫画は2020年1月に刊行された監修者書の『人は、なぜ他人を許せないのか?』のポイントを漫画化したものである。率直に言って、わかりやすい。しかも目に絵で入ってくるため、内容をより理解しやすくなっていると言えよう。
 そもそも正義中毒ってなんだろうか?要は自分が正しいと思って、自分以外の人間を攻撃することである。集団に属する必要のある人間は他人と関わらざるを得ない。人間関係において他人に苛立ちを感じたことのない人はいないだろう。
特に日本人は意見交換を行う時に感情論になることが多いという。鎖国を経た日本人はこの限られた土地の中でいかに争いやもめごとを起こさず平和に暮らすかが重要であった。意見交換よりも集団を乱さないことの方を優先してきたのである。この点で日本人は意見交換を得意としなくても仕方がないと言えよう。この著書では、まず自分も他人も矛盾する生き物であることを理解し、人格を否定せずに、物事に対する意見を率直に述べあうことの重要性を説いている。「だいたいいつもあなたは~」は意見交換には不要なのだ。
 人間の悩み事はほぼ人間関係である。この点を踏まえて考えてみると、自分と他人をいつも比較すると息をしているだけでただ疲労困憊しまいそうだ。この書著があなたの人間関係の問題をすべて解決するわけではない。問題の解決の糸口は確実に見つかる著書であると太鼓判を押せよう。

 

 

【書評】パリでもっとも有名な日本人が送る『レ・ロマネスク TOBIのひどい目。』


 とにかく唖然とする。とにかく笑う。そしてなぜか元気になる。人の不幸は蜜の味と言うが、そういうわけではない。あまりにも突拍子もないことが人生に起こり、それに向き合う姿が滑稽であり微笑ましいのだ。家から盗聴器が出てきたエピソードなんて気になりません?(笑)

 レ・ロマネスクはボーカルのTOBI氏とアシスタントのMIYA氏からなるポップデュオで、かつフランスで有名な日本人である。嘘ではない。ズンドコ節に合わせてパリの街がいかに汚いかをフランス語で歌い、ブーイング後、拍手喝采をあびたフランス帰りの小粋な二人組である。本著はそんなボーカルのTOBI氏が自身に起こった数々のひどい目について書いた自伝である。(そう、つまりすべて事実!)
 そもそもTOBI氏がフランスに渡ったのは日本で就職する会社がどんどんと倒産したためである。人生を変えようと思って渡ったのがフランスであった。フランスに渡っても銀行強盗に拳銃向けられたり、その強盗に数日後地下鉄でばったり会ったり、気が付いたら大西洋を漂流したり、などなど話題に事欠かない。
論者の最も好きなエピソードは家から盗聴器が出てきた話である。そもそもこのパリのアパルトマンは亡命ロシア人から借りたという時点でおかしい。ここがTOBI氏のおもしろいところで、彼はいたって真剣で真面目に考えて選択しているのだ。お金がないからたまたまいただいたありがたい話を受けた。その後007のようなドラマティックな展開に巻き込まれるのはTOBI氏の引き寄せ力ゆえかもしれないが。

 忘れないように伝えるが、レ・ロマネスクはポップデュオである。つまり歌手である。ぜひ彼らの歌を聴きながら本著を読んでいただきたい。読み終えた後に人生ってなんてばら色ですばらしいのだと自然に思えるようになる。ラ・ヴィ・アン・ローズ!

 

 

【書評】俺の安息の場所は、戦いの中にしかないんだ。『装甲騎兵ボトムズ III サンサ編』

 

「どこだ・・・・・・ここは」
追い求めたフィアナをその手にし、キリコ・キュービーは神聖クメン王国の崩壊時、大気圏脱出用小型機で炎熱の古都から脱出した筈だった。
しかし、漆黒の宇宙に飛び込んだとき、行く手に現れた巨大な光の塊に脱出機ごと二人は取り込まれた。
目を覚ませば、そこは宇宙戦艦の腹の内だった。
どこをどう巡っても、艦内には人の気配はない。キリコとフィアナの二人っきり。
コントロールも効かない。艦はどこへとも知れず二人を乗せて宇宙の闇をただ行く。
「私たちをどこへ連れて行く気なのかしら」
「どこへ行こうとも、俺だけは傍にいる」

だが、その静寂を、戦場の勇ましいマーチと凄惨な映像が突然引き裂いた。
レッドショルダー。
かつて、キリコが所属していたメルキア機甲兵団特殊任務班X-1、人呼んで吸血部隊。右肩を血の色に染めた鉄の騎兵の殺戮の限りが眼の前のスクリーンに映し出されていた。
「誰かが俺に、忘れようとしていた過去を思い出させようとしているんだ。忘れようとしていた過去を・・・・・」
キリコは、次第に精神に異常をきたし始めていた。しかし、フィアナにはどうすることもできない。
そんな最中、突然の警告。
それは、バララント軍からのものであった。二人の乗った戦艦は、バララント軍の勢域に侵入していたのだ。
ギルガメスとバララントの危うい休戦状態。それを覆すことも厭わぬキリコの抵抗。
キリコは出撃し、バララント軍を圧倒する。
それはなんの為に? それは愛する者を守る為に。そして、皮肉なことに、戦いの中に於いてのみキリコは正常を保てていたのだ。
やがて、戦艦はかつてのギルガメス、バララントの最も激しい戦闘宙域であり、休戦後は互いに進軍してはならぬと定めた不可侵宙域へと突入、さらには或る惑星へと二人を導く。

敵はバララント軍だけではなかった。
バララントとの戦闘で受けた負傷に呻く中で、キリコの脳裏にあのもう一人のパーフェクト・ソルジャーの名が、姿が、浮かび上がる。
そのイプシロンもまた、激しい憎悪を胸にキリコ達を急襲する。
その目的は、プロトワン=フィアナの奪回、そして憎むべきキリコの殺害。
追っ手をかわしつつ、ささくれ立つ思いを胸に降り立った、不可侵宙域内に在る赤い惑星。
しかし・・・、
「この惑星の名はサンサ・・・・・。分かっている。この星が俺を歓迎するはずがない」
更なる過去の呪縛がキリコにつきまとうのだった。

古傷の痛みに苛む男、パーフェクト・ソルジャーとして生を受けた女。互いに支え合いながら、宇宙の闇と赤い惑星を彷徨う、このテレビシリーズ29話から39話までを描いた本書は、キリコとフィアナの二人の絆を深めることを軸に、ドラマチックな展開を見せつけ、この作品を二人の純愛の物語と位置づけるに足るのだった。

次回『クエント編』。
キリコは自分の過去に出会えるか。

装甲騎兵ボトムズ III サンサ編
作者:高橋良輔
発売日:2003年6月1日
メディア:文庫本

 

 

【書評】病院のMSWってなんなのだ?『ビターエンドロール』


 「病気になった時に傷つくのは肉体だけではない。」かなりキャッチ―である。
日本国憲法第25条を知っているだろうか?25条とは「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という生存権のことである。この漫画は病気になった時に自分らしく生きる、つまり自らの生存権を選択する支援を行うMSWについて描かれている。MSWってなになのか?
 著者はおそらくよく取材したのであろう。MSWについてわかりやすく描かれている。そもそもMSWとは医療ソーシャルワーカーの略で、病院において医療と社会福祉を結ぶ役割をする専門職のことである。
言わずもがな、病院の入院退院は医師が決めることである。だが今後の自分の人生についても医師に決めてもらうわけにはいかないのだ。例えば、脳卒中になり、その後治療して治ったから明日家に帰ってくださいと言われたらどう思うだろうか?どうやって生活したらよいのか困らないだろうか?医療費はどうしよう?仕事はどうしよう?と思わないだろうか?病気になったのが高齢者だったらどうだろうか?こういう時に登場するのがMSWである。病気になってから発生する状況について、その人が思う問題を聞きながら、その方に合う社会福祉制度や環境を整えて、その人自身が自律した生活を選択できるように縁の下から支援するのだ。
この漫画はシリーズとして続いており、今作では若年者の脳卒中アルコール依存症、がんと生活保護をテーマとして取り上げている。MSWが介入することにより人の生活を支援するネットワーク作りから、とかく難しい日本の法律制度を利用できるようどう調整するのかわかりやすく描かれている。新型コロナウィルス感染拡大の中で全世界が誰もがフェアに病気になると体感した昨今において、当たり前のように享受している生存権について考えてみてはどうか?

 

 

【書評】今はアルコールは少量でも身体によくないのが常識!『男のヘルスマネジメント大全 ーー はたらき盛りのパートナーに『健康管理/生活習慣病/ホルモン/更年期障害/AGA/ED/性感染症 etc.』』

 

医療は常に進化している。一昔前まではアルコールは少量だと血行も良くなるしストレスも減るし良いと言われていたが現在では少量でも悪い点が多い。本書では男性が興味がありそうなヘルスマネジメントの最新情報がまとまっている。

まず初めに結論を書いておこう。ヘルスマネジメントとは最終的には老化を防ぐことであるが、結局は生活習慣の悪い点が老化へと繋がっている。全ての物事は適度な運動、適切な食事、良いストレスなどで解決できる。

例えばED。EDも生活習慣が問題だ。一方で最近は良い薬が色々と出てきている。飲んだあと一定時間で効果を発現させるバイアグラ。それ以外にも効果は数日続き、その効果は性的興奮を覚えた時だけ発言するような薬も出てきている。副作用も少なく、病院で簡単に処方してもらえる。

また、性感染症に関しても多くのページが割かれていた。性感染症が大きな問題になるのは抗体ができないこと、そのためパートナーと共に治療を終えないと、ずっと移しあっていて治らないことがあるということ。その上で言い出しづらいということだ。

本書は男性が興味を持つようなヘルスマネジメントについてまとめてある。unlimitedでも無料で読めるのでぜひ少しでも興味のある方は読んでまてほしい。自分は知っているつもりでも、世の中の医療は思った以上に進んでいる。

 

 

【書評】SEOは完全無視!『「Chikirinの日記」の育て方』

 

社会派ブロガーちきりんさんのブログ「Chikirinの日記」がどんな風に成長していったかを赤裸々に物語った書籍。2013年に発売。

ちきりんさんを知らない人は全員、この方のブログ、書籍を読んでほしい。本当にためになることがたくさん書いてある。

本書は、いわゆる「ブログでの稼ぎ方、PV数の増やし方」を完全無視しているところが興味深い。ちきりんさんの方針がしっかりしているため、そこらへんに落ちているようなテクニックとは全く無縁なのである。

ここから学べることは、「自分がどうしたいか」を考え抜いて、芯を持って行動すべきだということ。そして「自分が好きなこと、楽しいと思うこと」をやること。

ちきりんさんは稼ごうとなんて全くしていない。ただただ考えることが好きで、それを文章を書くことが好きな人。気づいたら彼女の価値を享受する人たちが増えていただけ。こういう気持ちが大事だと心から思う。

 

「Chikirinの日記」の育て方

 

【書評】ここへ来たのは、なにもかも忘れるためだ。『装甲騎兵ボトムズ II クメン編』

 

「気の狂うような熱さと湿気、熱病と死を運ぶ虫共、緑に塗り込められてはいるが・・・・・・ここは地獄に違いない」
映画『ブレードランナー』の街並みを模した様なウドの街から一転。今度の舞台は、映画『地獄の黙示録』がモチーフと判然できる。
だが、そのクメン王国での戦争は、ベトナム戦争というより、カンボジアの内戦に近い。
反政府ゲリラとの内乱に揺れるこの王国では、傭兵部隊も一大勢力として幅を利かせていた。
ウドを離れてまる三ヶ月。追跡者の手から逃れながらこの地に辿り着いたキリコ・キュービーは、傭兵部隊アッセンブルEXー10に身を寄せた。
硝煙と死臭の中でしか生きられないキリコは、いずれきっとここに来る。そう睨んでこの地で待っていたのは、ゴウト、バニラ、ココナであった。
しかし再会したのは彼らとだけではなかった。
作戦中、凄まじい動きを見せたブルーの敵機に、キリコは確信する。
「この反応速度、ただの人間では決してない。相手は間違いなく彼女だ。ウドで別れたきりの、俺のフィアナだ」

さて、『ウド編』では、キリコ・キュービーは、軍と謎の組織の両方から狙われ続けながらも、何故自分が追われるのかを知ろうと、謎の組織に対して逆襲をかけ、「素体」とも「プロトワン」とも呼ばれる一人の女性に迫った私闘であった。
キリコを遥かに凌駕する戦闘能力を持った彼女は、戦いのためだけに生まれた「パーフェクト・ソルジャー」。
いつしかキリコは、無意識のうちに彼女を「フィアナ」と呼んでいた。
その彼女はもう敵ではなかった・・・筈なのに・・・。

『クメン編』では正規軍ではないが部隊に所属する。つまり、私闘から戦争に身を転じる兵士へと還った。戦いの内に紛れた方が身を隠し易いからだったが、その戦いの中で彼女と再び出逢ってしまったことで、傭兵として作戦に参加しながらも、またも私的な思いからの行動も起こす。物語は複雑な展開を見せるのである。

『クメン編』の見どころは、部隊に所属しているが故に垣間見える人間ドラマにもある。
生き生きとした登場人物たちのやりとりは、なかなか巧みにして妙味。読みながらしっくりとくるものがある。
また、『ウド編』では主な相手が治安警察だったので、毎回A・T(ロボット)同士が戦う構造ではなかったが、小規模ではあっても『クメン編』は戦争だ。実は、しっかりロボット物をやっているのだ。
そして、ここへきてのライバル登場。
戦いのライバル、そしてフィアナとの愛のライバル、イプシロンである。
そんな、テレビ版の14話から27話までのノベライズは、意外にもエンターテイナーに徹した内容となっているのである。

次回『サンサ編』。
スペースオデッセイの幕が開く。

装甲騎兵ボトムズ II クメン編
作者:高橋良輔
発売日:2003年2月1日
メディア:文庫本

編』

「気の狂うような熱さと湿気、熱病と死を運ぶ虫共、緑に塗り込められてはいるが・・・・・・ここは地獄に違いない」
映画『ブレードランナー』の街並みを模した様なウドの街から一転。今度の舞台は、映画『地獄の黙示録』がモチーフと判然できる。
だが、そのクメン王国での戦争は、ベトナム戦争というより、カンボジアの内戦に近い。
反政府ゲリラとの内乱に揺れるこの王国では、傭兵部隊も一大勢力として幅を利かせていた。
ウドを離れてまる三ヶ月。追跡者の手から逃れながらこの地に辿り着いたキリコ・キュービーは、傭兵部隊アッセンブルEXー10に身を寄せた。
硝煙と死臭の中でしか生きられないキリコは、いずれきっとここに来る。そう睨んでこの地で待っていたのは、ゴウト、バニラ、ココナであった。
しかし再会したのは彼らとだけではなかった。
作戦中、凄まじい動きを見せたブルーの敵機に、キリコは確信する。
「この反応速度、ただの人間では決してない。相手は間違いなく彼女だ。ウドで別れたきりの、俺のフィアナだ」

さて、『ウド編』では、キリコ・キュービーは、軍と謎の組織の両方から狙われ続けながらも、何故自分が追われるのかを知ろうと、謎の組織に対して逆襲をかけ、「素体」とも「プロトワン」とも呼ばれる一人の女性に迫った私闘であった。
キリコを遥かに凌駕する戦闘能力を持った彼女は、戦いのためだけに生まれた「パーフェクト・ソルジャー」。
いつしかキリコは、無意識のうちに彼女を「フィアナ」と呼んでいた。
その彼女はもう敵ではなかった・・・筈なのに・・・。

『クメン編』では正規軍ではないが部隊に所属する。つまり、私闘から戦争に身を転じる兵士へと還った。戦いの内に紛れた方が身を隠し易いからだったが、その戦いの中で彼女と再び出逢ってしまったことで、傭兵として作戦に参加しながらも、またも私的な思いからの行動も起こす。物語は複雑な展開を見せるのである。

『クメン編』の見どころは、部隊に所属しているが故に垣間見える人間ドラマにもある。
生き生きとした登場人物たちのやりとりは、なかなか巧みにして妙味。読みながらしっくりとくるものがある。
また、『ウド編』では主な相手が治安警察だったので、毎回A・T(ロボット)同士が戦う構造ではなかったが、小規模ではあっても『クメン編』は戦争だ。実は、しっかりロボット物をやっているのだ。
そして、ここへきてのライバル登場。
戦いのライバル、そしてフィアナとの愛のライバル、イプシロンである。
そんな、テレビ版の14話から27話までのノベライズは、意外にもエンターテイナーに徹した内容となっているのである。

次回『サンサ編』。
スペースオデッセイの幕が開く。

装甲騎兵ボトムズ II クメン編
作者:高橋良輔
発売日:2003年2月1日
メディア:文庫本