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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】パリでもっとも有名な日本人が送る『レ・ロマネスク TOBIのひどい目。』


 とにかく唖然とする。とにかく笑う。そしてなぜか元気になる。人の不幸は蜜の味と言うが、そういうわけではない。あまりにも突拍子もないことが人生に起こり、それに向き合う姿が滑稽であり微笑ましいのだ。家から盗聴器が出てきたエピソードなんて気になりません?(笑)

 レ・ロマネスクはボーカルのTOBI氏とアシスタントのMIYA氏からなるポップデュオで、かつフランスで有名な日本人である。嘘ではない。ズンドコ節に合わせてパリの街がいかに汚いかをフランス語で歌い、ブーイング後、拍手喝采をあびたフランス帰りの小粋な二人組である。本著はそんなボーカルのTOBI氏が自身に起こった数々のひどい目について書いた自伝である。(そう、つまりすべて事実!)
 そもそもTOBI氏がフランスに渡ったのは日本で就職する会社がどんどんと倒産したためである。人生を変えようと思って渡ったのがフランスであった。フランスに渡っても銀行強盗に拳銃向けられたり、その強盗に数日後地下鉄でばったり会ったり、気が付いたら大西洋を漂流したり、などなど話題に事欠かない。
論者の最も好きなエピソードは家から盗聴器が出てきた話である。そもそもこのパリのアパルトマンは亡命ロシア人から借りたという時点でおかしい。ここがTOBI氏のおもしろいところで、彼はいたって真剣で真面目に考えて選択しているのだ。お金がないからたまたまいただいたありがたい話を受けた。その後007のようなドラマティックな展開に巻き込まれるのはTOBI氏の引き寄せ力ゆえかもしれないが。

 忘れないように伝えるが、レ・ロマネスクはポップデュオである。つまり歌手である。ぜひ彼らの歌を聴きながら本著を読んでいただきたい。読み終えた後に人生ってなんてばら色ですばらしいのだと自然に思えるようになる。ラ・ヴィ・アン・ローズ!