HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】自分の人生をゼロからスタートしてみれば、思いがけない新たな扉が開くはず。『マンガ版 ゼロ〜なにもない自分に小さなイチを足していく〜』

 

本書は、発売後8年間売れ続けている『ゼロ』の漫画版。幼少期の誰とも同じように、思うようにいかないもどかしさや、成長過程のエピソードが書かれている。著者は子供の頃、泣いても嫌々ながら柔道を習わされた。泣きながら訴える幼き著者を見ると、同様の経験を思い出し自然と涙が頬を伝う。大人になって涙する場面はほぼ無いが、何だか他人事とは思えない。

ひとりっ子は甘やかされているとよく言われるが、しつけの厳しい家では自分の味方は誰もいなく、追い詰められて逃げ場がない。親の愛情でも子供にとっては結構つらい。著者を見ていると、時折り自分を見ているように思うことがあるが、そういった経験からなのかもしれない。

著者は、自分の得意分野だけでなく、興味があることには何でも挑戦し、仕事も遊びも境界がなく複数の仕事を同時に全力で楽しむところは、評者も真似したい。興味のあるそれぞれのことをどう仕事にできるのかは、よくわからないが、それを実践でき伝えられれば、嫌な仕事をして辛い思いをしている多くの人たちが幸せに生きられると思う。そんな生き方を本書は教えてくれる。

また、最近オンラインのトークイベントで、著者と長年仕事付き合いのある人が、著者のことを褒めていた。当人がいない所で褒められるのは、人のことを褒めない日本人にとっては、なかなかないことだ。それは、著者が日頃から誰に対しても人を大切にしているからなのだろう。そんな著者の人柄が本書からも垣間見れる。本書を読み、自分の人生をゼロからスタートしてみれば、思いがけない新たな扉が開くはずだ。

 

 

【書評】ビートルズのコピバンがタイムスリップ。ビートルズより先に曲を出したらどうなるか。『僕はビートルズ』

 

また、全巻一気に買って読んでしまった『僕はビートルズ』。ビートルズは213曲を出している。もし、ビートルズにライバルがいればビートルズはどう出てくるのか?が本作のストーリーだ。いやー面白かった。

本作の主人公はビートルズコピーバンドの4人組。4人はある日ビートルズのデビューの数年前にタイムスリップしてしまった。音楽しかできない4人は、過去でもビートルズの曲を演奏していると、こんな音楽はこれまで聞いたことがないと、瞬く間に有名になってきてしまう。

ビートルズの大ファンである4人は考えた。もしビートルズが今後作るはずの曲を先に出して、ビートルズに届けれることができれば。もしかすると聞いたことがない新曲を聴くことができるのではないだろうか。

サクサク読めて、ビートルズを楽しめ、ビートルズで瞬く間に有名になるストーリーは非常にワクワクさせられ面白い。どんな人にもおすすめできる一冊だ。

 

 

【書評】自分の機嫌をアウトソーシングしない『丁寧道〜ストレスから自由になれる最高メソッド〜』

 

著者はよく「どうしてそんなに幸せそうなんですか?」と聞かれるという。確かに著者の印象はいつも笑顔で楽しそう。著者から見ると、誰もがどこか疲れていて、感情をオフにする事で自分を保っているようだ。人はいつも無いものに意識が向き、常に心が満たされない。自分に有るものに気づき、感謝できたら日常の景色も変化していく。

著者は20代の頃から対談番組をもち、出会った超一流の人たちは、誰もが余裕を持って周りを見られる整った心の持ち主であり、思い遣りと丁寧さがあるそうだ。人を思い遣るためには、心身ともに健康で整い、余裕があって機嫌が良い状態だからこそできること。しかし、著者は元々、常にせっかちで雑。突然のことにはパニックになり対処できず、忘れ物もひどい。意識も1秒ごとにあっちこっちいってしまうため人の話も聞けず、歩いても道端の草花や空、雲に感動して目的地になかなか辿り着けない。

そんな著者にとって「丁寧」は、一番遠く難しいことだが、心がけることでどんな変化が訪れるだろうと思い、ゲーム感覚で行なったら人生が変わったという。丁寧に動作すると感謝が生まれ自分の気分のマインドセットができ、外部からのネガティブな影響を受けないそうだ。本書では、丁寧道の本質やその仕組み、上手くいくポイントが書かれているため、本書から学び実践すれば自分の機嫌をアウトソーシングしない人生が送れるのだ。

 

 

【書評】人間の本来の力を取り戻せ! 『SWITCH〜オートファジーで手に入れる究極の健康長寿〜』

 

 老化を防止して免疫系を強化するオートファジー。さらにがんや心臓病、慢性炎症、変形性関節症、うつ病認知症などの発症リスクを大幅に低下させる効果がある。若く!美しく!健康に!その秘訣であるオートファジーについて様々な角度から書かれている。その中から私が気になったところをピックアップする。

 2019年、世界五大医学雑誌であるランセットに「全世界の死亡者の死因の2割は、単なる不健康な食事である」驚きの結果だ。食事を少しでも気にしていれば毎年1100万人が亡くならずに済んだかもしれない。しかし、原因は食事の内容だけではなく遺伝情報も関係するとの事。人間のゲノム(DNAのすべての遺伝情報)は約100万年当たりでわずか0.5%しか変異してない。つまり、まだ石器を使って狩りや木の実などを採取してた時代の人間の体のつくりとほとんど現代人は変わらない。人類は歴史的に見ると農耕が始まったのがつい最近で圧倒的に狩猟採取をしてた時期が長い。摂取カロリーの大半は肉(タンパク質)や脂肪からとっていて、現代のように糖質は殆ど取っていなかったし、量も沢山食べてなかった。だから、身体が食べ慣れていない食事が原因で肥満が蔓延し、様々な病気が広まっている。他にも長寿の方が沢山いる地方の話や30年以上生きるネズミの話や実際にオートファジーを引き起こす方法などが書かれている。

 

 

【書評】読書はリスクが低く効率の良い投資『〜「金持ち脳」になって自由な人生を手に入れる〜攻めの節約』

 

著者は海上自衛隊に入隊後、28年間で数多くのミッションに参加しつつ、不動産投資により2億円の資産を築き、40代半ばでアーリーリタイアを果たした。億万長者と聞くと高級車に乗り豪遊生活送る人と想像する人もいるだろうが、豪華に過ごすのは友人との会食ぐらいで派手な生活とは程遠く、お金を使う基準をしっかりと持っているため、目先の欲からではなく、将来自分に利益をもたらしてくれるものに支出するそうだ。

例えば、一流のサービスを知るためにホテルやレストランを利用したり、旅行やセミナー等の自己投資がほとんどで、自分が魅力的な人になるために、また人間的に成長するための経験にお金を使う。さらには、自己成長のために必要な時間を生み出すために、移動時間や家事時間を減らし時間を生み出すものへ投資する。

そんな著者が考えるリスクが低く、効率の良い投資は読書だという。なぜなら、年間20〜30冊、数万円の書籍代で成功者の考えに近づくようになり、世界のビリオネア達も読書に自分の大事な時間を使っているからだ。本書では他にも、クレジットカードやポイントカードを使った戦略的な買い物の仕方や、やってはいけない節約、公共料金の賢い支払い方、マイホーム購入や生命保険の加入は本当に必要なのか等、世の中では当たり前に思われていることにも疑問を持つ事の重要さが書かれている。

本書を読むことによりお金に関する視野が広がり、やりたくない安定した生活、やりたいことをした不安定な生活の二者択一ではなく、ストレスなく自由に生活することも可能になるという。お金は便利なものだが、誰かの役に立つからこそ得られるものであり、夢の実現も強い信念を持ち、行動する姿勢があるからまわりから応援される。評者も世の中のために実現したい事は複数あるため、応援される人になるよう本書からの学びを一つずつ実現していこうと思う。

 

 

【書評】なぜ牛乳パックは四角いのか?『考えることこそ教養である』

 

小泉内閣で大臣を務めていた竹中平蔵氏の著書。あらゆる情報にすぐにつながれ、知識の価値が急落した現代は、考える力が重要になっている。その力をどのようにして鍛えるのか、実践を交えて教えてくれる1冊である。

考える力を養うために、「川を上り、海を渡る」ことが大切とのこと。川を上るとは、モノの成り立ちや歴史的経緯を探ること、海を渡るとは、他国と比較することである。時間、世界、という軸で、問題に向き合うのだ。

なぜ牛乳パックが四角いのか、ご存知だろうか?著者はこの問題に対して、「川を上る」方法での考え方を説明している。

底が四角いメリットは、無駄なく隙間なく並べられること。牛乳はジュースと違って腐りやすく、輸送時も販売時もずっと冷蔵庫に入れなければならない。だから牛乳は、冷蔵庫に並べやすいよう四角い形をしているのだ。

なるほど、と感じた。すべてのモノや形に意味があるということを体感できたし、こういった考え方をしていけば、世の中の見え方が変わってきそうだ。

すぐに思考停止してしまうのではなく、深く深く考える癖をつけていけば、発想も気持ちも豊かになりそうな気がしてきた。

 

 

【書評】あれは俺の運命に深く関わっているらしい。そいつはどんなさだめだ?『装甲騎兵ボトムズ I ウド編』

 

装甲騎兵ボトムズ』は、1983年4月1日から1984年3月23日まで、全52話がテレビ東京系で放送されたテレビアニメであり、そのノベライズ第一弾が本書だ。
しかし、出版されたのは2002年で、なんと放送終了18年後。何故、わざわざ、いまさら? しかも、執筆しているのは高橋良輔監督御自らときている。
未だ根強い人気をキープし続けているこのアニメは、ビデオ、レーザーディスク、DVD、Blu-rayと、メディア媒体が進化する度に、また、周年記念などの機会に、幾度となく「なんちゃらBOX」が販売され続けているが、本書出版の動機にしても、多分そんなノリからだったのだろう。

さて、まず作りとしては、各話をサブタイトルもそのままに一章として区分けしている。放送当時から評判の高かった次回予告までもそっくり収録している。
内容にしても、台詞多めで、描写少なめ。その台詞も極力テレビ版に忠実であろうと意識していることが分かる。
変に深掘りするでもなしで、これは小説なのか? いや、ちょっと違うよね。じゃあ一体何か?
これは、なんというか、もうこの際作家性なんか放棄しちゃって、まんま再現することに専念しちゃえ! ってな思い切りの下で書かれた、究極のノベライズなのだ。
だから、文章の卓越さがどうとか、比喩がどうとか、そんなことはどうでも良い。
こんなものを、いっぱしの作家先生に書かす訳にもいくまい。だからこそ高橋監督が筆を起こしたのであろう。
しかし、読んでみると、却って、案外と、むしろそれが良い。スーラスラ読める。そして、読むに従い番組がすんなり頭に蘇ってくるのだ。
元の作品を大事にしたいという高橋監督の想いまでもが感じられる様だ。

アストラギウス銀河を真っ二つに分けた百年戦争
突然の転属。内容の明かされぬ作戦に参加したキリコ・キュービィーが作戦中に偶然発見したのは、棺桶のような装置に入れられた全裸の女性。目を凝らすキリコ。突然目を瞠る女はキリコを見据えた。
この作戦以来、軍から追われる身となったキリコは、数ヶ月後には惑星メルキアの退廃と悪徳の街「ウド」に紛れ込んでいた・・・。
テレビシリーズでは、1クール毎にガラッと舞台が変わるという趣向を凝らしていたのだが、本書で描かれているのは、その第一の舞台『ウド編』の13話までである。
その終わり際では、戦争しか知らなかったキリコが、この街で出会ったゴウト、バニラ、ココナのロクでなし三人組と行動を共にするなかで、無口な見た目こそ変わらぬが、意外なまでに人間らしさを取り戻していたことが窺え、ドキリとさせられるのだ。

次回『クメン編』。
キリコが飲むウドのコーヒーは苦い。


装甲騎兵ボトムズ I ウド編
作者:高橋良輔
発売日:2002年11月1日
メディア:文庫本

 

 

【書評】1つの意見 ≠ 1人の個人『正義中毒〜人は、なぜ他人を許せないのか?〜』

 

「正義中毒」は3つの思考パターンからなる。(1)間違ったことが許せない(2)間違ってる人を徹底的に罰しなければならない(3)間違ってるのだからどんなにひどい言葉をぶつけても構わない。本書は「正義中毒」の仕組みをマンガで解説する。

まず「議論」に慣れていない国民性を指摘する。「対立意見」を「人格否定」と捉えてしまう問題である。つまり「意見」と「人」を切り離すことができない。これはほぼ単一文化の日本に起こりやすいと解説する。

個人にはいろんな顔や意見がある。1人の個人が多様な意見をもつ。1つの意見が1人の個人を否定する理由にはならない。それを理解することが大切である。

またSNSと「正義中毒」はとても相性がいい。閲覧履歴などから自分にとって都合のいい「正義」をSNSが提示してくれるのである。自己学習型のアルゴリズムは便利な一方、「正義中毒」を加速させるのである。

評者はSNSいじめや炎上に加担したことは一度もない。自分に一切関係ない人たちに「許せない」という感情をもつことが理解できない。しかしそれらを見たことはあるし、「どういう思考なんだろう?」という興味は以前からあった。加担する人の気持ちは分からないが、メカニズムの大枠は少し理解できた。

 

 

 

【書評】そろそろ敷かれたレールから外れてみませんか? 『Dark Horse  好きなことだけで生きる人が成功する時代』 

 

あなたは未だに産業化時代の成功法則に影響を受けてませんか。世界的名著と言われている自己啓発本は"出世の階段を登ることで、富や地位を獲得する"ことを成功と定義して書かれている。しかし、社会的にはそれが成功だと認識していても、個人的には幸福感や達成感を求めているのである。

それではあなたが成功するために最善の方法は何だろうか。そもそも標準化から個別化に向かっている現代において、成功の鍵となるのは自分自身に対する理解(自分がどんな事にモチベーションがわき、どういうスタイルで学ぶのが向いていて、どういう状況で能力を発揮しやすいか)である。

本書は一般社会のバイアスを矯正してくれる整体のような本である。一見常識から外れているようだが、個別化の時代においては合理的だと思える事例が豊富である。今までの社会に順応できていなかった人にはぜひ一読をすすめる。新たな人生が拓けるであろう!

 

 

【書評】ローラーダッシュ、ジャラジャラ剣はこうして出来上がった。『アニメ監督で・・・いいのかな? ダグラム、ボトムズから読み解くメカとの付き合い方』

 

太陽の牙ダグラム』は、『機動戦士ガンダム』のヒット、と言うより、『ガンプラ』ブームの煽りを受けて作られた。当時の日本サンライズ(現:サンライズ)は、スポンサーのおもちゃが売れるTVアニメを作ることこそが命題だったのだが、ガンダム富野由悠季監督以外にも話を作れる演出屋は誰かいないか? ということで呼び出しを食らったのが、高橋良輔監督だった。

既に主役ロボットであるダグラムのデザインが決まっていた段階で、作・演出を依頼された高橋監督は、自身初のロボット物のキャラや舞台設定、ストーリー作りを進めた。
結果、『太陽の牙ダグラム』は、お話に政治を持ち込んだり、おっさんばかりが大量に登場して物語を進める「会議室アニメ」などと揶揄されつつも、ミリタリー色の強いメカデザイン群が受けたのか、ジオラマ志向のプラモファンにもてはやされたのか、プラモデルがバカ売れして放送も延長、全75話もの大作となった。

取り敢えず、おもちゃさえ売れれば何をやってもいい。そんな幸せな時代に於いて、次作では、顔の代わりに三連レンズ、まん丸頭で「スコタコ」とあだ名されたスコープドッグという量産機がメインメカという風変わりな作品『装甲騎兵ボトムズ』が制作され、その後も、『機甲界ガリアン』、『蒼き流星SPTレイズナー』など、ロボット物の原作監督としてのキャリアと評価を得ていくこととなる。
しかし、リアルロボット物の人気にも陰りが差す。レイズナーの後、10年余りをロボット物以外の作品作りに精を出すが、やがて、『勇者王ガオガイガー』、『ガサラキ』、『装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ』など、またぞろロボット物へとの関わりが増えていった。

本書は、「メカとの付き合い」というものをメインテーマに、これまで掲げた作品毎に章を分け、それぞれどの様なモチーフからメカの設定、性格、ディティールなどを考えたのかを述べている。
勿論、メカ、つまりロボットを魅力的なものに観せる為には、その背景となる作品世界の構築も必要であり、結局ロボットと全然関係なさそうな話もあれこれと語られる訳で、高橋監督の作品制作への姿勢の全般が窺えるのだ。

「試行錯誤の顛末、思考の空回りやらが書き散らかされいる。ただ改めて、やはり充実した月日であったなと思う。それはやはり”つくる”という毎日であったからだろう。かつて我が師・手塚治虫が入社一年足らずの右も左もわからぬあたしらに向かって、「あんたもつくりてなんですから!」と一再ならず容赦ない叱咤の言葉を投げつけてくれた、あの公平さ、あの優しさ、あの厳しさに支えられたのは間違いない」
高橋良輔監督のアニメ制作のキャリアは、虫プロから始まったのだが、まえがきで書かれたこの言葉が監督のものづくりに対する根源なのであろう。

巻末には、監督と作品を共にした、メカニックデザイナー 大河原邦男出渕裕スペシャルインタビューも寄せられているが、高橋良輔監督について二人が共通して語っている言葉があった。
「人たらし」である。
良く耳にする話なのだが、どうやら高橋監督というのは、自分では何もしないのに、いつの間にか周りがみんな乗せられて頑張ってくれる。そして、出来上がった作品には何故か上手いことに、しっかりと「高橋良輔」色が出ていると言う。
稀代の人たらし高橋監督の仕事。出来れば、一作でも作品をご覧になってから読んでみていただきたい。


アニメ監督で・・・いいのかな? ダグラムボトムズから読み解くメカとの付き合い方
作者:高橋良輔
発売日:2019年2月9日
メディア:単行本