HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】未来を描くのはそんなに難しいことではない。『そこまでやるか、をつぎつぎと。』

 

「自分を常に切り開いていく姿勢を持つことが、この人生を最高の旅にすることになるのだ」これはこの著書の中でも引用されているドイツ出身の哲学者ニーチェの言葉である。
ここに筆者のモノづくりに対する極意が凝縮されている。モノづくりには終わりがない。行動し、継続することが大事なのだ。この本は、経営者のみならず、これから社会に出ようとしている者にとっても自分の無限大の可能性を教えてくれる本となるだろう。

さて包装というと何を思い浮かべるだろうか?日本の包装は海外のそれと比較すると過剰であるとの話をよく聞く。著者は100年以上続く包装機会社に所属し現場を見ているなかで、コンビニの直巻おにぎりに代表されるようなシンプルで美しい包装を生み出す機械を作り上げてきた。衛生面だけではなく、見た目の美しさを追求するところがまさに美でありそこが日本文化の真骨頂なのかもしれない。ただしこれらのアイディアを生み出すまでは著者一人の力では到底できなかった。むしろ革新的な製品を作り続けていくための従業員のマインド作り、チャレンジ精神を刺激するフラットな環境作りを通じて、自分の意思で成長したいと思わせるような環境を会社の中で作り上げていくことに専念したそう。組織のフラット化が会社の成長につながっていくと誰が想像しただろうか?ここに、まず行動しやすい環境というキーワードが存在するのだ。今に満足せずにアップデートすることと変化は同義語であり、変化を認める環境があるからこそ安心して変化することができるのだ。

この本は1912年創業の包装機メーカー川島製作所代表取締役である伊早坂嗣氏の著書である。読み終えて思うことは包装機業界を通じて世界的建築家である隅研吾氏と世界一の靴磨き職人である長谷川裕也氏の対談を交ぜながら、著者のモノづくりに対する姿勢を通じて、仕事に対する思想、考え方、行動の仕方を教示していただいたということだ。
著書の中に描かれたフューチャーマップをぜひ見ていただきたい。確かにモノづくりは一人でもできるかもしれないが、そのわくわくは仲間とともにあるからこそ価値がある、そう思わせてくれる。

そこまでやるか、をつぎつぎと。

【書評】わかってもらえると人はうれしい。『人生を変えた共感力』

 

著書名を聞いて何を想像しただろうか?これは、心理学の本でもなく、人間関係の本でもなく、自己啓発の本でもなく、ファイナンシャルプランナートップセールスマンが大事にしている姿勢ついて書かれている本である。人はみな承認欲求を持っている。人の所有する理解してほしい、認められたい、認めてほしい、これらの気持ちを理解し分析することでセールスにつなげていく。いわゆる「気持ち」だけでどうやって利益を得ることができるのか?この本にはそのヒントが書かれている。

著者は生命保険営業を経て、38歳の時に保険の販売代理店であるFPパートナーを創業した。FPパートナーは過酷と言われる販売代理店の業界でノルマなし・飛び込み営業なし・採用基準なしを貫いているにも関わらず、業界トップの利益をあげ続けている。なぜノルマ必須の販売代理店業界であえてノルマなしなのか?そしてなぜ成功を収めているのか?ここにはノルマありの状況が生み出す影響を逆手に取った、人間の深層心理を揺さぶる心理作戦があるのだ。会社の理念の根底にあるものは、相手の気持ちを推し量る力、共感力である。これは著者が保険営業をしていた際に疑問に感じたことから湧き上がってきたものだそう。おもしろいのは顧客に対してではなく、会社員に対して、さらには会社員同士にも求めていることだろう。人が人に寄り添われ大事に扱われる経験を経て起こる化学反応をセールスに活かしているのである。
具体的には共感力とは相手に合わせて自分をチューニングする環境適応力、対人調整力というコミュニケーション力のことだそう。この本の中にはFPパートナーで実際働いている社員の座談会も載っており、具体的にどのように横つながりを作っているのかも知ることができる。

営利を目的とする会社であっても必要なのは人が人を思いやる気持ちである。一人の従業員である前に人として大事にされれば会社に貢献したいと思うだろうし、一人一人が会社に貢献すれば会社はより発展していく。飴と鞭とはよく言ったが、もう時代錯誤なのだろう。飴と飴こそ人を成長させるそんな時代がやってきたのかも、そんなことを教えてくれる本と出会った。

 

 

【書評】ちゃんと今日から役に立つ!超実践的な『世界で一番やさしい会議の教科書』

 

世の中に会議本、ファシリテーター本はたくさんあるが、この本はちゃんと使える。3C分析とか、SWOT分析とかそんなのは一切出てこない。社会人2年目でもファシリテーションできるように書かれている。

本書はいわゆるラノベである。社会人2年目の主人公が長い会議にうんざりするところから始まる。

さて、ストーリーは置いておいて、本書で学べることを紹介しよう。例えばうんざりする長い会議、なぜこんなにも長いのか。
それは、
①会議の終了条件が決まっていない。
②会議の時間配分が決まっていない。

ことである。会議の終了条件、「〜が決まっている状態になる」など、まずは全員で終了条件を共有することで、議論の方向があうためだらだらと長い会議になるのを避けることができる。

また、時間配分が決まっていないと、延長などになりがちだ。情報共有何分、議論何分、まとめ何分など、しっかりと決めてから会議はおこうと良い。

他にも、会議中のホワイトボードの使い方、会議の計画の立て方、議論が噛み合わない時はなぜ噛み合わないのか?。色々なノウハウがたくさん詰まっている。今までのSWOT分析だとか、3C分析だとかは一体なんだったんだろう。これが会議のやり方だ。

そして目指すべきところは参加者全員のファシリテーションスキルを上げることだと言う。このスキルが高い人は、参加者側だとしても良い会議をすることができる。みんなで良い会議をしよう!。また、続編の資料の作り方の本もオススメだ。

 

 

【書評】情報力は才能である。『情報を活用して、思考と行動を進化させる』

 

気が付いたら情報に左右されている人はいないだろうか?現代社会は情報過多と言っても過言ではないくらい情報に溢れている。情報にアクセスできない情報弱者ではなく、必要な情報を得られずに十分な情報を得ることができない状況に陥っていないだろうか?この本は巷に溢れている情報の中からいかに自分にとって必要な情報を効率的に収集する方法が書かれている。情報収集し整理し知識に変えていくことで自らの能力が高まっていくのである。

著者はまず情報の活かし方について話している。まずは自分の知識を豊かにするための情報収集を行う。その後自分の知識を深めるために組み合わせる情報の選択、その結果生み出される仮説を検証するための別の情報収集を行う。そして、経験を観察・内省したうえで概念・情報化し、自分のためのもしくは他者のための情報として保存することを情報収集のプロセスとして論じている。おそらくほとんどの人は無意識に情報収集は行えているだろう。大事なのは情報をいかに自分の知識として落とし込んでいくかという点である。

論者は例にもれず膨大な情報に圧倒され自分の意見が迷子になるタイプである。気が付くと受け身になっている状況を意識的に変えようと言われても、言うは易く行うは難しだと正直思った。ただ安心してほしい。この本のすばらしいところはどうやったら自分に必要な情報を能動的に入手できるのかと書かれているところである。
まず闇雲に情報収集せず、情報収集する際に目的を持つこと、これにつきるのである。情報収集する際に目的を持つとどこかに寄っている情報ばかりが集まってしまうのではないか?と思われるだろうが、情報は中立ではないと筆者は言い切っている。だからこそ、興味のある情報を多角的にみることにより、その情報から広く深い意味を生み出したり、情報を疑うことにより起こる変化を分析することで全く別の意味合いを見つけたりするのである。

筆者はコンサルタントや新規事業立案のプロジェクトマネージャーなどを経て、新規事業立案や市場調査等を展開する会社を創設した方である。過去から現在の必要な情報を分析し他者を納得させる編集力を使用し、情報を自らのものにしていく。その根底にあるモチベーションは「もし~だったらどんなことが起きるだろう?」という楽しむ気持ちだそう。
まず自分が興味ある情報を選んで接触していくことを意識する。そして、私たちは得るべき情報を選べる立場にいる。これが情報社会で迷子にならないためのTIPSなのかもしれない。よし、これから情報を利用していこう!

 

情報を活用して、思考と行動を進化させる

情報を活用して、思考と行動を進化させる

 

 

【書評】HIU徹底解剖!『SALON DESIGN vol.9』

 

本誌はHIUメンバーだけで作成された雑誌である。通称サロン本。内容は1万円のラーメン「MASHI NO MASHI TOKYO」座ったままできる全身運動、会員制BAR「Unlimited」BLM、ナーフ、ゼロ高などなど。

『SALON DESIGN vol.9』では西麻布会員制BAR「Unlimited」の謎に迫った。「Unlimited」とは私が任されてるお店である。本誌にもある通り、月額2万円で通い放題、堀江貴文さん選定のブランドワイン、ドリンク飲み放題。別途料金がかかるが、シーシャ、Comptoir Feuのカレー、寺田有希さんご実家の餃子も楽しめる。屋上テラスではBBQや地下にはカラオケが完備された個室もある。今流行りのサブスクバー。店の扉を開けるには、毎月更新される会員専用パスワードが必要になる。

ページをめくっていくと、黒い背景に1人の綺麗な女性の写真が目に止まる。私は『東京カレンダー』を読んでいるのだろうか?という錯覚に陥る。とてもかっこいい。夏には屋上テラスでBBQ。地下フロアで、みんなとわいわいカラオケで盛り上がりたくなる。

今回は会員制Bar「Unlimited」の記事に着目したが、サロン本を読めば大体のHIUの流れが分かる。HIUの教科書といったところだ。HIUに入会し、やりたいことが見つからない方や楽しさを見出さない方はサロン本を読んでから行動するといいだろう。

沢山の方々に手掛けていただいたサロン本、心に残る一冊である。私も少し登場しているので是非見て欲しい!

  1. horiemon.thebase.in

【書評】PRに関わるすべての方の基本ガイドブック。『サニーサイドアップの手とり足とりPR』

本来のPR(パブリックリレーションズ)の意味とは、「企業や団体が社会との良好な関係性を構築すること」であるが、得てして、PR=パビリシティの獲得。つまり、メディアに取り上げられてもらうことばかりを目的とする場合が非常に多いのが実際であろう。
しかし、世の中に向けて発信される情報量が爆発的に増えている昨今に於いて、個々の情報を生活者が目にする確率は相対的に減っているのだから、これからの時代では、情報の質を高めて生活者に届く確率を上げることが必須だと著者は言う。

本書は、有名なPR会社である株式会社サニーサイドアップのA4サイズで300枚近くとなる社内マニュアルを書籍化した物である。
PRに関する概観に続き、「手法としてのPR」、「プランニング」、「メディアプロモート」、「リアルプロモーション」、「デジタルマーケティング」等の各々について、解説、メディア毎の戦略、具体的な戦術、スケジュールやステップを掲げた進行例などを詳細に記述している。
例えば、記者発表会はどう開く?
プレスリリースとは? ニュースリリースとは?
新聞やテレビ、ラジオ、Webにはどう対処すれば良いか、SNSを活用するに適したやり方、などなど。
まさに手とり足とりである。

個人的に言えば、記述されている中には、私の様な小規模なD2C事業者にとってはなかなか手を出せない様な施策も多々あるのだが、それでもプレスリリースやらインターネットでの露出の仕方など、それなりに得るものは少なくない。
ましてや、世にある数多の会社の広告担当者にとっては、基本を紐解ける頼りになる一冊となるであろうと思う。

著者が望む様に、本書で得た知識やノウハウで「たのしいさわぎ」をどんすこと起こして欲しいと望むところだ。


サニーサイドアップの手とり足とりPR
作者:吉田誠,亀山一樹,サニーサイドアップ社内マニュアル編集チーム
発売日:2021年5月11日
メディア:単行本

 

 

【書評】自分のめがねをかけかえれば、望む幸せは訪れる『一瞬で幸せが訪れる天国めがねの法則』

 

著者は小中高校生の間、友達が一人もいなく、かなり辛い学生時代を送り、書道家として活躍したのちも誹謗中傷やクレームの荒らしが数年間にわたり続いたという。しかし、そんな著者は特別ではなく、著者の周りの成功者はみんな一様に、そのような苦しい経験をしてきたそうだ。

なぜならば、勝ち負けの世界にいる限りそのような状況を変えることはできず、みんなが憧れる成功者の心はボロボロで、幸せとは程遠いところにいるそうだ。世界的スーパースターの映画や本等のドキュメンタリー作品により、何となくその状況は想像がついていたが、それは当然経験した当人にしかわからず、その辛さから依存症になる人もいるほどだ。

著者によると、成功、勝ち負け、数字を争う世界に存在することにより、勝ったとしても一瞬の喜びは虚しさに変わる。何を手にしたとしても満たされることはなく、人との衝突を続けている限り、物との衝突も起き、また自分と戦い成功を手にしても、そこには負けた自分が取り残され、争いを続けている限り幸せは訪れないのだという。

それに気づいた著者は幸せを得るために、書とアートの世界に打ち込み、常に所作を丁寧にし、自称感謝オタクとして、世の中の全てのことに感謝することにより、嫌なこと、嫌な人に出会わなくなり、毎日思いもよらないような楽しいことで満ち溢れているそうだ。

評者も海外へ度々出かけていた時に、常にThank youを上手く使う人たちを目の当たりにし、こんなシチュエーションで言うのだなと学び、心がけるようにしてきた。すると著者の言うようにどうでもいいような揉め事が無くなり、次々と面白いことが増えてきたように思う。今後も新たな楽しいことが訪れたら、どんどん挑戦していけばより楽しい人生になるだろう。

 

一瞬で幸せが訪れる 天国めがねの法則

一瞬で幸せが訪れる 天国めがねの法則

 

 

【書評】さあ、副業を始めよう!『日本一カンタンな「副業」と「お金」の教科書』

 


 新型コロナウィルス感染拡大は、私たちの健康に対する意識だけではなく働き方を考えるきっかけとなったと言っても過言ではないだろう。飲食店が閉店し、残業が減り給与が下がり、在宅ワークが進んだ。今まで無我夢中で働いてきた人にとっては自分の生活を見直すきっかけになったかもしれないし、給与が減ったことによって自分の将来設計を考え直したかもしれない。今までと同じ給与を支払えない会社は就業規則を見直し副業を許可し、在宅ワークによって自由な時間が増えた人は副業に興味を持ち始める。この状況は至極自然な流れなのかもしれない。ただどこから手を出したらいいかわからない人も多いだろう。この本はそんな初心者向けの本である。

 副業と言うとどんなイメージを持つだろうか?本業の隙間時間に行うもの?もうすでにこの考え方が間違えている。副業とは確かに本業ではない、だからこそきちんと副業を行う事が大事なのである。自分が好きなこと、自分と相性がいいこと、それを基準にして、自分のオリジナルにアレンジし、それを全うすること。つまり、副業だからと手を抜かずにきちんとやり遂げられる副業を見つけることがまずスタートなのだ。お金は本業である程度手に入れ、副業で自分の興味のあることを続けながら収入を得る、副業はそんなポジションなのである。
 こう書くと簡単に思えるだろうが、著書の中には手厳しい助言もちゃんと書かれている。副業をうまく継続し安定した収入を得るためのプロセスである。副業者などの体験談からきちんと情報収集し、経験を積み、実践し、効率化していく。こう書かれると心配になるが、副業だから何度でもチャレンジできると言って背中を押してくれるのである。なんと優しい。
 
 その副業について分類しているのもおもしろい。本業のスキルを他に提供する、趣味を活かす、単調作業の代行、株式投資、企業と客との仲介、商売の副業の6つである。このどれにも当てはまらない人はいないだろう。ITが苦手でも趣味はあるだろうし、ITが得意なら趣味をITを使って広めていくこともできるだろう。自分の持っているスキルを活かすもよし、趣味を活かすもよし、自分の時間をどう使うかは自分で決めて良いのである。

 著者は10年以上経営コンサルタントをしている。今の仕事内容や収入で満足しているなら副業は考えなくてもいいだろう。今のままの生活でいいのか?と思ったら、まずこの本を読んでみるといい。副業は収入を増やす、収入を安定させるというより、人生をより豊かにさせるものなのかもしれない。副業したくなった。

 

日本一カンタンな「投資」と「お金」の本

日本一カンタンな「投資」と「お金」の本

 

 

【書評】「ころも」を着ればみんな一緒『からあげビーチ』

 

からあげファミリーが訪れたビーチで「ころも」を脱ぎ楽しんでいると、周りには自分たちとは違った見た目のからあげたちが大勢いた。同じからあげでも中身は鶏肉、たこ、さといもがいたりと一見みんな違うように思える。しかし、ころもを着てしまえばみんな一緒。何の違いもないのだ。

本書は例えば人見知り、海外にルーツがある、左利きなどレアな全ての個性を応援するシリーズ絵本だ。著者は両親の仕事の都合により6カ国の学校に通い、誰もがユニークで普通は存在しないと気づいたという。

評者も最近、本書のからあげたちのような「ころも」体験をした。それは、Club houseで大人気の「自由バナナ党」だ。そのコンセプトは本書と同じく人はみんな同じ。誰もが得意なことや優れたことを持っていて、何もない人はいない。上も下もなく、有名、無名、フォロワー数も関係ない。自分のアイコン写真にバナナの着ぐるみを着せちゃえばみんな一緒でしょ。という考えのもとに作られたそうだ。たった数日の開催で300人以上のメンバーが一気に集まり、現在では500人以上になっているようだ。

メンバーには党員ナンバーが付与され、スピーカーに上がり自己紹介することにより、そこからその人の個性にあった大臣名を任命してもらえるという面白い取り組みだ。

そこでは、誰もが自分の時間を使い、完全にそれぞれが利他の精神で行っている。メンバーになったところで何があるわけではないのだが、一人一人がどんな個性であっても面白がり認めてもらえることが、自分にとっても、人のことであっても何とも嬉しいとメンバーは感じるようだ。そんなところが人気の理由でもあるのだろう。本書を読みそれを思い出した。

 

からあげビーチ (レアキッズのための絵本)

からあげビーチ (レアキッズのための絵本)

 

 

【書評】ライスワークをライフワークに簡単に変える『GAFA部長が教える 自分の強みを引き出す 4分割ノート術』

 

 現役GAFA部長が書く仕事の楽しみ方を見つける方法。この本のすばらしいところはGAFAに入る方法ではなく、どこの会社にいても自分らしく働けるように変えていく方法について書かれているところだろう。つまり、生活のために働いている環境を自己実現するための環境に変えていく方法について書かれているもである。これだけ聞くときっと興味を強く持つだろう。そしてそれは裏切らない。

 4分割ノートとはなにか?の前に、まず自分とは何者だと自分が自覚することから始まる。そう、自己覚知である。自分にはどういう強みがあるのかを知ることにより、向いている「最高の仕事領域」での仕事を行うことができ、自分自身の成長、強いては会社の成長にもつながっていくのである。
 著者は自分の中の好き嫌い、苦手得意を分け、好き得意の分野である最高の仕事領域をスイートスポットと表現しているのもおもしろい。このスイートスポットという単語はこの著書の中でキーワードなのだが、とても伝わりやすい表現だと思われる。苦手嫌い領域を全力で避け、スイートスポットをとにかく伸ばしていく、それに尽きるのである。これからの時代はオールラウンダーになる必要がないと言い切っているのもおもしろい。自分の資質に合った得意分野を成長させるのは困難ではないはずだ。

 スイートスポットのパフォーマンスをより発揮するための論理的思考についても書かれている。自分は論理的ではないと論理的に考えることをやめた人はいないだろうか?実はこの本によると、水平思考と垂直思考を使い経験を積んでいく方法を使うと人に伝わりやすい論理的な説明ができるのだ。単語から連想し物事を導き出していくのが水平思考であり、水平思考で出た項目を深掘りしていくのが垂直思考である。つまり頭の中にある思考を経験から導き出し構築していくプロセスに慣れる必要がある。確かにここにはセンスが必要かもしれないが、経験を積むことで論理的思考が身につくと言われると希望が湧いてくる。知識は経験を持って初めて知恵となるのである。

 本書は、誰でも持つスイートスポットをどう活かすかについて述べている。今までライスワークだと思っていたものは自分自身の力で実はライフワークへ変えられるのである。変化を恐れていたらもったいないのだ。おもしろいのが最後の方にコミュニケーションについても書かれていることかもしれない。変化を恐れずに、新しいコミュニティにもつながる。人との出会いは自分の思考だけではなく自分の人生も豊かにするのである。人と人との出会いはいつもケミストリーを起こす。