HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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意思疎通がとれているか?『全社一丸 やり手ボンクラ経営論』

本書の目的の1つは、経営者の苦労をできるだけ少なくすることである。

日本の一般企業では何か1つのことを徹底するのに、信じられないほどの大変な労力を要するのが実状ではないだろうか。

そもそも日本の教育の時点で、これだけ複雑なビジネス社会に突入しているにもかかわらず、未だに「言われたままに文句を言わずに働く」そんな工業労働者を育てるだけなのである。

なのに、現場で働く社員の不満はいつも「現場を知らずに、変な指示ばかり出さないでほしい」、「トップはもっと現場を見てほしい」である。

また、会社を向上させようと意欲的な社長の不満はどこでも「社員、幹部が自分の思うように動かないや、話は伝わらない」などのように相互間での意思疎通が図れていないことが多い。

ならば、社内での伝達は、簡単に的確にし、ところどころ不明な点があれば、聞く側がきちんと質問を挟んで確実なコミュニケーションをとることが解決の糸口である。

経営とは永久革命であり、量の足し算ではなく、質のかけ算だ。毎年毎年少しづつ大きくなるけども中身が何も変わらない。そんな会社よりは、何も大きくならないけれども、中身がどんどん強くたくましく変身していく会社、こちらのほうがよほど良いと著者は解いている。

自分は経営者という立場ではないが、経営者の立場から俯瞰して会社を見たときと、現場で働く立場での相互間での意思疎通が的確に行われることが、会社での重要課題であると本書を通して理解した。

全社一丸―ヤリ手ボンクラ経営論

全社一丸―ヤリ手ボンクラ経営論

働いて、お金を稼ぎなさい。そうして強くなりなさい。 『この世でいちばん大事な「カネ」の話』

お金が無いということはどういうことなのか。

貧乏と暴力に彩られた著者の10代。
貧困がもたらす抜け出すことのできない貧困のループ。
貧困から抜け出したくても抜け出せない。

貧しさは人から様々なものを奪っていた。
人並みの暮らし、教育を受けさせること、お金が十分にないと諦めなくてはいけないことが次から次に、山ほど出てくる。
そんな親たちの行き場のない怒りは、どんどん溜まっていって、その矛先はどうしても弱い方に向かう。
目の前の生活のしんどさのあまり、子供を本気で殴ってしまう。
「親のようになりたくない」と思った子供も、どうして良いか分からず、地元に残り、同じように子供を殴る親になってしまう。
著者に見えたのは「将来」ではない「行き止まり」。

ギャンブル狂の父は借金苦で自殺。
人間はそのまま行ったら破滅するに決まっている道を、わかっていても歩んでしまう。
心の風邪をこじらせ、よくない風を沢山浴びて、そう生きるしかない道を突き進んでしまう。

お金がなくなると人は、人でなくなっていく。
貧しさは人をそうやってすべてを飲み込んでいく。
貧しさは、不治の病。

著者は、貧しさが土砂崩れのように何もかもを飲み込んでいく町から、母からもらった100万円を持ち上京し、美大に入る。

「この町には、もう、絶対に帰らない」
と心に誓って、著者は東京で生きていく。

お金がないということを身に染みている著者の貧困と暴力、生きていくこと、働くことの意味、それをぜひ、本書で感じてほしいと思います。
もちろん、著者の底抜けに明るくユーモアたっぷりの文章に、ときには笑わせてもらえます。

お金ってなんなのか?

「お金」の持つ側面を著者の人生から「貧困」を通して見つめてみる。
貧困の生々しさがもたらす胸の痛みとともに、今よりも、少し「お金」のことや「働くこと」の意味が理解できるのではないでしょうか。

読んだ後、少し、胸が苦しくも切なくもなりますが、著者の明るく逞しい生き方に元気づけられます。

「お金」について考えている人、悩んでいる人に一読の価値があります。

働くことが希望になる。

これが著者のメッセージです。

この世でいちばん大事な「カネ」の話 (角川文庫)

この世でいちばん大事な「カネ」の話 (角川文庫)

HIU公式書評ブログで今週読まれた書評【2017/12/31-2018/1/6】

1位 メタ思考トレーニング 発想力が飛躍的にアップする34問 PHPビジネス新書

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2位 SOLO TIME (ソロタイム)「ひとりぼっち」こそが最強の生存戦略である

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3位 男の作法 (新潮文庫)

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4位 夢をかなえるゾウ文庫版

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5位 仕事は楽しいかね? (きこ書房)

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6位 頭のよさはノートで決まる 超速脳内整理術

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7位 OPTION B(オプションB) 逆境、レジリエンス、そして喜び

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8位 日本人のしきたりいろは図鑑

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 9位 時間をかけずに成功する人 コツコツやっても伸びない人 SMARTCUTS

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10位 ライフハック大全―――人生と仕事を変える小さな習慣250

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スペースブローカーはいらないよ『広告ビジネス次の10年』

本書は2014年に初版が発行されている、その後3年の間の出来事は加味されたものではないが、それでも主張は的を射ている。広告マンの8割はいらないという主張には同感だ、しいていえば8割というのはいささかの配慮が感じられる。

広告マンとは営業職だけではなく、広告を扱う会社に属する人材全員だ。スペースブローカー思考を脱却できない広告マンにはっきり言って未来はまず無い。現状維持はつまりは相対的な価値を下げることを意味する。大きな変化の一つはメディア事情だろう。

広告代理店の序列を決定づけていたものの一つがマスメディアの広告枠の保有量だ。しかし現在はどうだろうか、“テレビや新聞に影響力がある”という主張に、違和感を覚える方は少なくないはずだ。もちろんその価値がなくなったわけではないが、相対的には低くなっているのだ。理由はもちろんインターネット、さらにはスマホの普及が大きい。

ニュースサイトやSNS、動画サイトなど、世界は非同期で情報収集ができる環境に変わった。個人は、好きな時間に好きな場所で好きな情報を好きな人から得ることができるようになったのだ。見たくない情報を拒むことさえできる。一方で、決まった時間にその場にいる必要のあるテレビや満員電車では邪魔にしかならない新聞など、情報を得るための時間的なコストや精神的コストの高いメディアは敬遠されていく。

今でもムーブメントを起こすにはマスメディアは有効だろう、しかし有効と思われる目的範囲は今後さらに限定されていく。マスメディアが役割を奪われるというよりも、過剰に担っていた役割を適したメディアに返還するという表現が正しいかもしれない。これら広告業界におきたことは高生産性シフトだ。最良のターゲットに最適なメディアで最適な伝え方を、それらは最小限のコストにて要求される。その時に広告マンはメディアの枠売りではいけない。市場は売り手の論理から買い手の論理が幅を利かせている。買い手市場はどのような論理で動いているのか、興味があればぜひ本書を手に取ってほしい。

広告ビジネス次の10年

広告ビジネス次の10年

死が近づいた時に役に立つ『ここは今から倫理です。』

本作品の主人公は教師であり、ある学校での

選択授業である“倫理”での先生と生徒の関わりを描いた作品である。

倫理の授業には“誰とでもヤル女”、“物凄く聡明な生徒”、“いじめっ子を助ける先生になりたい生徒”、“初めて人を殴った生徒”、“夜遊びに耽る生徒”、色々な生徒がいる。授業の後にはそれらの生徒が先生に悩み相談をしにくる。そして生徒を倫理的解釈でよりよく生きるために導くのが本作品の流れだ。

悩みを抱かえる生徒の問題を解決する学園ものはこれまでいくらでもあった。しかしほとんどの作品は熱血教師だが、本作品の先生は圧倒的にクールでローテンション。それが不気味で非常に魅力的だ。

倫理とは宗教、ジェンダー、いのち、より良い生き方を学ぶものであり、人生にはあまり役に立たない。強いていうならば死が近づいた時に役に立つと本作品の先生はいう。でも、そんなことを学べるマンガは非常に良書だと評者は思う。

相互理解のきっかけに。『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』

今後世界は資本主義から価値主義に移行していくというのは、本書の主張の一つだ。詳しくは第3章を読んでほしい。ここでいう価値とは次の3点に分けられる、有用性、内面的、そして社会的だ。

経済という大枠で捉えようとするよりも、身近な環境でなぞる方が腑に落ちるかもしれない。それは例えばあなたが所属している企業の組織にも当てはめることができる。マネジメントする立場とされる立場、いずれの場合ももう一方の相手と価値観が合わず心がモヤモヤした経験はないだろうか。

30代前半の私はどちからといえば資本主義の精神が色濃い。後輩のモチベーションを上げるために予算達成という成果の価値を、給与や賞与を引き合いに出してきた。もちろんそれら自体を悪しとは思わないが、それらは大きく本書でいうところの有用性としての価値に分類される。

資本主義から価値主義に移行していく現在ではこのほかに、内面的な価値と社会的な価値も対価として求められる。この2つを置き去りにしてなるほど後輩のモチベーションは上がりきらないはずだ。価値主義を軸にした相手は業務上の成果のほか、感情の充実や対社会への貢献度も重んじる。この価値基準のギャップがそのままコミュニケーションギャップの温床になっている可能性がある。相手の考えに納得できない場合は、相手が何に対して価値を感じるのか、そこに目線を変えても良いかもしれない。

先日読了した書籍にも、多様性とは属性ではなく考え方であるという主張があった。多様化を推進するということは、自身の考え方ひいては価値観と異なる仲間が増えることを意味する。アウトプットそのものを判断し拒絶や反発をせず、そのアウトプットはどのような価値観に準じているのか、一度見極めることをお勧めする。人の価値観に普遍性は無いと思うが、同じ組織に所属している以上共通して惹かれるものはあったはずだ。相手を理解したいという姿勢があれば、きっと分かり合えるだろう。

まずは自身から行動しよう。

お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)

お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)

50歳以下の必読書〜人生戦略、立てていますか?〜『ライフシフト 100年時代の人生戦略』

新年になり、今年の計画を立てた方は多いかと思いますが、人生の計画は立ててますか?本書は『ワークシフト』で有名なリンダ・グラットンの2017年を代表する名著である。

今までは教育・仕事・引退の3ステージが一般的だが、これからはマルチステージとなっていく。その例としてリスクをあまり取りたくない人向けの3ステージの人生にちょっとした変化(0.5ステージ)を加えた3.5シナリオから、新しいスキルの習得期間を入れた4.0、5.0シナリオまで提示されている。
そしてシナリオに対して、以下の資産をどう形成していくかが重要である。人生の資産には有形資産と無形資産があり、特に無形資産を意識する必要がある。無形資産は①スキルと知識といった生産性資産、②健康・幸福感といった活力資産、③変化と新しいステージへの移行を成功させる意思と能力、すなわち変身資産である。
人生で多くの移行を経験し、多くのステージを生きる時代には新しい役割に合わせて自分のアイデンティティを変えるための投資、新しいライフスタイルを築くための投資、新しいスキルを身につけるための投資が必要となってくる。

あなたは何にどれくらいの時間とお金を投資して生きていくか考えたことはあるだろうか。そのような人生戦略を考える機会を与えてくれるのが本書である。

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

商売道具を粗末にするな!『夢をかなえるゾウ』

本書は架空の生物「ガネーシャ」が歴史的な世界の名だたる有名人を例題にして、世の中の渡り方を教えてくれるフィクション小説である。

まずは自分の「靴を磨け」とガネーシャは言う。靴というのは自分が会社へ行く時も、営業で外回りする時も、カラオケ行ってバカ騒ぎしてる時も、靴はずっと気張って支えてくれている。そういう自分を支えてくれているものを大切にできない人は成功しない。

イチロー選手を例にすると、イチローは他の選手が帰っても、ずっと残ってグラブ磨きをしていた。本人は「神聖な商売道具を粗末に扱うことは考えられない」と言っている。そういう仕事に対するまっすぐな姿勢があるから、メジャーでずっとトップを取れている。ならば、自分が毎日使っている靴も商売道具の1つではないだろうか。

また、歴史的発明者エジソンは、どんだけ実験に失敗しても、もう何千回失敗しても「成功だ」と言っている。「この実験が失敗だとわかったから、また1つ成功に近づいた。だから成功なんだ」と、こういうスタンスこそが、世界の発明を起こすのだ。

本書を通してガネーシャから仕事のこと、お金のこと、そして自分自身のことを少しずつ理解できるようになていく。お金は人を喜ばすことでもらえるもの。でも、誰でもそうだけど、やりたくないことや嫌なことではなく、好きなことや楽しいことしかできない。だとしたら、人を喜ばせることが何より楽しいと思えるように自分自身を変化させていく。

そして、自分が好きなこと、楽しいと思えることで人を喜ばせていけばそれが成功したり、有名になったり、お金持ちになるための、回り道のように見えるけど1番の近道なんだと、僕はガネーシャの伝えを通して感じたのである。

夢をかなえるゾウ文庫版

夢をかなえるゾウ文庫版

明るく爽やかにひとりの時間を持とう『SOLO TIME ひとりぼっちこそが最強の生存戦略である』

「群れ」の中で生活することで知らず知らずのうちにストレスをためてしまう現代人に、精神科医の著者は「ひとりの時間を持つ」つまり「ソロタイム」を持つことをおすすめしている。

「ひとり」というと、どうしても「lonely」という言葉が意味するような「寂しい」ニュアンスを感じてしまう人もいるかもしれない。しかし、本来「alone」という言葉がただ「ひとりである」という状態を表すように、「ひとり」イコール孤独、寂しいではない。
むしろ、明るく、爽やかに自分自身と向き合うひとりの時間は、健やかに生きるために欠かせないものだとこの本で著者は語っている。
ひとりの時間の過ごし方やそのメリットをたくさん紹介しているが、「朝公園を散歩して樹に抱きつき、そのときの爽やかな身体感覚を覚えておく」という提案はユニークだった。ついネガティブになってしまいがちは人は、「元気でさわやかな状態」の自分を、身体感覚としてまず知り、その状態を自分の基準にすることが大切だそうだ。このように、心理学の観点から、自分の心とからだを健やかに保つ方法がたくさん提案されている。
人の悩みの原因の9割が人間関係ともいわれるが、悩んでいる人や疲れがたまっている人は、ストレスの原因から少し距離を置こうと決意できるだろう。すがすがしい気持ちで生きることを応援してくれる1冊。


SOLO TIME (ソロタイム)「ひとりぼっち」こそが最強の生存戦略である

SOLO TIME (ソロタイム)「ひとりぼっち」こそが最強の生存戦略である

エモーショナルなビジネス書『オプションB』

本書はfacebookのCOOシェリル・サンドバーグが最愛の夫を休暇先で突然亡くした経験から生まれた。タイトルの「オプションB」とは、「次善の選択肢」という意味である。

シェリルの夫が突然亡くなったように、人生は思いがけないことの連続だ。そんな逆境を乗り越えるためのレジリエンス(回復する力)が必要とされる。
著者自身の体験だけでなく薬物中毒で子どもを亡くした母親や、性的搾取の被害にあった女性、遺伝的な視覚障害者の画家など、様々な立場で困難を経験してきた人々のエピソードも語られている。他の体験者から学びながら、自身のレジリエンスを鍛えてきたシェリルの生の声には説得力がある。
レジリエンスは、持って生まれた能力ではなく、誰でも今から鍛えることができる。自分の思いを書き出すジャーナリングをする、最悪の出来事に意味を見出す、良いところに目を向ける練習をする、など自分の考え方や習慣を変えることで身につけることができ、そのヒントがこの本には溢れている。
誰だって、思いもよらないショックな出来事に見舞われることがあるだろう。そんなときでも、自分の人生を自分でコントロールできると再び信じてオプションBを選び、逆境をバネに成長する人間の可能性を感じた。
そして何よりシェリルの夫への愛情の深さと、自分の弱さに向き合っていく勇気に、読み物としても心を動かされる一冊だ。ビジネス書をあまり読まない人が、ノンフィクションとして読んでも楽しめるだろう。