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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】「名著が人生を豊かにする」『名著の予知能力』

100分de名著のプロデューサー秋満義彦の企画・制作の舞台裏。名著と出会い直し、あなたも人生をより豊かにしよう。

「100分de名著」といえば、言わずと知れた10年以上続くNHKの長寿番組なのでご存じの方も多いのではないだろうか。
番組コンセプトは「名著は現代を読む教科書である」だそうです。
数十年~数百年の時を経へて今に残る名著は、時代を超えても色褪せない普遍性を持ち、現代を生きる私たちの日常を深め、未来をも予見する能力があるという。
自分も何度か番組を観て、伊集院光氏が素人目線で解説者に質問をぶつけてくれたりするので難しいことでも非常に深く、面白いなと思っていましたが、本書を読むことで著者の書物探検のワクワク感や番組の企画・制作の掛けた思いが伝わり、ますます番組にも興味が沸いてきます。
「名著を人生と接続する。」
自分たちが知っているつもりになっている名著のうち、わかりやすく二次創作されることにより、原作とは異なるイメージを持っている物も多い。本書は紹介されたシュピリ「アルプスの少女ハイジ」やコッローディ「ピノッキオの冒険」もそのような作品なのだという。アニメでは語られないストーリーや作品が生まれた背景などを知り、驚きの連続だった。

全体主義に抗い、事実を正しく捉えて、うそを見抜く目を養うということで、
トランプ政権の台頭、ネオナチの台頭、強権的な政治など世界的に全体主義的な政治手法が強まる中で市民たちが買い求めたハンナ・アーレントの「全体主義の起原」「エルサレムアイヒマン」、チェコスロバキア民主化運動「ビロード革命」に関するエッセイであるヴァーツラフ・ハヴェルの著書「力なき者たちの力」を通して、無関心に消費社会を生きる現代の私たちにも警鐘をならす一冊なども紹介されている。

現在は、若者を中心にコスパ、時短、要約、分かりやすさ、手軽さなどが求められがちだが、その逆に長い時間を掛けて、分かり難いもの、他者、違和感、異質性、わからなさなどを受け入れてじっくりと名著と向き合うということの重要性を感じた。
そして、名著によって自分や周りの人生を豊かにしていくこと、その一歩を踏み出して実践していこうと思うきっかけをくれる一冊です。
名著はこれまであまり接点がなかったという人もこの本をきっかけに名著と出会い直してみてはいかがでしょうか。

出版社:幻冬舎
著者 :秋満 吉彦