HIU公式書評Blog

HIU公式書評ブログ

堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

MENU

【書評】ルイ王朝の愛と欲望の狭間で 『マノン・レスコー』

みなさん、こんにちは。
今日紹介するのはフランス文学の古典です。
ルイ王朝時代のフランスを舞台に、美しきマノンとたまたま出会った彼女に一目惚れして恋の炎を燃え上がらせてしまう青年、シュヴァリエ・デ・グリューの愛の物語を描いた『マノン・レスコー』。アブヴェ・プレヴォーによって1731年に書かれたこの小説は、映画化や舞台化もされ、時代を超えて多くの人々の心をつかんできました。

悪女として有名?なマノンですが、果たしてそうでしょうか。物語の中で、マノンは物質的な欲望と真実の愛の間で揺れ動くキャラクターとして描かれています。彼女の行動や選択は、直接的な言葉ではなく、シュヴァリエの語りを通して読者に伝えられます。この間接的な描写方法は、マノンの心の中の複雑さや不確実性を強調し、読者に対して彼女のキャラクターについての解釈の幅を広げています。

この作品が発表されたのはフランス革命より半世紀以上も前、ルイ王朝時代です。この社会的背景も、物語の深みを増しています。当時のフランスは、階級や性別によって大きく待遇が異なる不平等な社会でした。この背景が、マノンやシュヴァリエ(長子ではないので)の選択や運命に影響を与えています。

マノン・レスコー』は、愛と欲望、社会的背景と個人の選択というテーマを巧みに組み合わせて描いており、読む者の心に深く響く作品となっています。フランスの古典はとっつきにくいと思われるかもしれませんが、この光文社古典新訳文庫はとても読みやすいのでこの小説を手に取ったことがない方には、ぜひ一度読んでみて欲しい一冊です。