かつて男尊女卑が当たり前の時代がずっと続いてきた日本。各時代に書かれた物語を読んでみてもそうだった。『竹取物語』,『源氏物語』,『平家物語』,『忠臣蔵』,『舞姫』,『蟹工船』。もしも物語の登場人物が、既存のストーリーに抗って男性優位の社会に反旗を翻したら?!そんな「もしも」のアナザーストーリーを描いた本作。
主人公の女性二人『さよ』と『ごう』は、元々は竹取物語の登場人物だった。二人は強い意志を持って男社会と戦うのだが、男尊女卑を良しとする『物語の神』から妨害を受けたり、他の物語に飛ばされたりしてしまう。
若干SF要素も含んだ本作は、現代社会にも通じる問題提起を改めてしているようでもある。
もう一つ本書で面白いのが、物語の各時代における様子が事細かく描写されており、当日の時代背景や生活、言葉遣いなどがよく伺えるという意味からも大変興味深い。
巻末の参考資料一覧を見ても、本作を仕上げるまでには、資料の収集や編集に大変な苦労があったのだろうと想像できる。
著者はの雀野日名子氏についてネットで調べてみると、まずは写真に目が行くが、う〜ん、美人だ。このビジュアルで、怪談やホラー小説なども手掛けるらしく、他の作品も気になるところ。
本書のボリューム的には300ページ超と読み応えもバッチリなので、古典文学や歴史に興味がある方には是非オススメしたい。